ベネズエラ・日本:エストゥディアンティーナ駒場、遠く離れた国同士をつなぐ音楽の架け橋

本記事は、ベネズエラと日本の間の架け橋としての音楽を取り上げる連載記事の一部です。Tomomi Sasakiの協力で作成されました。

ベネズエラ人と日本人に共通の関心事について、今までに考えてみたことはあるだろうか? 漫画や寿司がまず思い浮かんだとしたら、他に紹介したいことがある。日本人の音楽家が強い関心を持ってベネズエラの伝統音楽に取り組んでいることや、ベネズエラのファンが市民メディアを利用して彼らを応援し、交流している様子を伝えたい。

ブログ上での日本人のベネズエラ音楽への反応を交え、音楽を通したベネズエラと日本の交流についての記事を連載する。エストゥディアンティーナ駒場(Estudiantina Komaba) [jp] についてのインタビューを取り上げ、続いて紹介するのは、ベネズエラと東京の両ブロガーの同合奏団に対する投稿だ。また、ブログを使って音楽を共有している音楽家など、様々な話題を伝える。最終的には、これまで互いに遠く離れていると思われていた2つの国を、音楽がどうつないでいるか分かってもらえるだろう。

Facebookグループ「Estudiantina Komaba Fans in Venezuela」の画像。使用許可を得て掲載。

ベネズエラ民謡「平原の魂(アルマ・ジャネーラ)」を演奏するエストゥディアンティーナ駒場の動画が、ブログとツイッターで話題になった。ブログCaracas Chroniclesを書いているFrancisco Toroは、同合奏団に興味を持ったので連絡をとり、オンラインでインタビューした [es]。そのインタビューで、同合奏団が結成されたいきさつを、エストゥディアンティーナ駒場を率いる石橋純東京大学准教授から聞いた。以下はその内容の一部だ。

[La] Estudiantina Komaba nace el 1 de agosto de 2009, al culminar el primer concierto de fin del Curso “Introdccion a la interpretacion de la musica latinoamericana” […]
Estudiantina Komaba la forman los egresados de la clase y los que tienen ganas de seguir tocando la musica venezolana durante todo el ano. […] La idea de dar clases de la pratica de la musica venezolana en una universidad japonesa nace tras mas de 25 anos de actividades del profesor Ishibashi para la difusion de la musica venezolana fuera de su territorio original.

A partir del 2006 la Universidad de Tokio ha sido visitada musicos altamente prestigiosos de Venezuela asi como El Cuarteto con Huguette Contramaestre, Ensamble Gurrufio, Ricardo Sandoval y Mattias Collet, Leonard Jacome, Rafael “Pollo” Brito, Marco Granados y VNote Ensamble, Caracas Sincronica, etre otros, en el marco de la Semana Cultural de Venezuela, organizada por la embajada venezolana en Tokio

エストゥディアンティーナ駒場は2009年8月1日に誕生した。「ラテンアメリカ音楽演奏入門」ゼミの学期末に行われた成果発表コンサート後のことだ。(中略)同合奏団は、そのゼミの修了生と年間を通してベネズエラ音楽を演奏したい人々とによって構成されている。(中略)石橋准教授はベネズエラ音楽を同国の外へ広めることに25年にわたって取り組んできた。日本の大学でベネズエラ音楽を教えるという考えは、その取り組みの中から出てきたものだ。

2006年以来、東京大学にはベネズエラの中でも高名な音楽家たちがたびたび訪れている。エル・クアルテートとウゲット・コントラマエストレ(El Cuarteto con Huguette Contramaestre)、アンサンブル・グルフィーオ(Ensamble Gurrufio)、リカルド・サンドバル&マティアス・コレー(Ricardo Sandoval y Mattias Collet)、レオナルド・ハコメ(Leonard Jacome)、ラファエル“ポジョ”ブリート(Rafael “Pollo” Brito)、マルコ・グラナドス&ウン・ムンド・アンサンブル(Marco Granados y VNote Ensamble)、カラカス・シンクロニカ(Caracas Sincronica)などだ。彼らは皆、東京のベネズエラ大使館が主催した「ベネズエラ文化週間」のために訪問した。

さらにベネズエラでは、エストゥディアンティーナ駒場のファンがFacebookグループ [es] を作った。そこで同合奏団についてのコメントや動画、記事、写真を共有している。その略歴では、同グループの情報や活動のいくつかを説明している。

Los estudiantes aprenden unas 6 piezas cada semestre ? joropos, valses, calipsos y orquidea, etc. Las piezas que aprenden en la clase son un punto de partida para la aficion a la musica venezolana para ellos.

学生はホローポ、ワルツ、カリプソ、オルキデアなどの楽曲を、学期ごとに6曲程度学んでいく。ゼミで学生が習う内容は、ベネズエラ音楽へ関心を持ってもらうための入り口である。

エストゥディアンティーナ駒場のメンバー以外にも、ベネズエラ音楽に関心を持っている人はいる。ブログCafe y Cuatros [jp] を書いている弦楽奏者の出口泰司は、ベネズエラの伝統音楽の演奏に興味がある人々に向けて楽譜やアドバイス、歌詞を共有している。

ベネズエラの音楽家チェオ・ウルタードとエストゥディアンティーナ駒場。Facebookグループ「Estudiantina Komaba Fans in Venezuela」の画像。使用許可を得て掲載。

このようにして行われている交流はソーシャルメディア上で共有され、広まっている。ベネズエラ音楽を主なレパートリーとして演奏し、日本人にベネズエラ音楽に触れるきっかけを与えている日本人音楽家に出会える機会が、この交流によって増えるだろう。

次回の記事では、日本のブログ界で話題にあがっているベネズエラのハープ「アルパ」の奏者である吉沢陽子を紹介する。最後にまた交流の話に戻って、2011年の「ベネズエラ文化週間」の期間に書かれた羽村市議会の鈴木たくや議員の投稿 [jp] を取り上げる。この投稿からうかがい知れるのは、意外な場所からやってきた音楽の良さに、ある地方の政治家が気付いたときの様子だ。

素朴な音楽?なんて想像していたのですが、とんでもない。民族音楽とジャズが混ざり合い高い洗練度。リード楽器のマンドリンは広がりある旋律を紡ぎます。私は、ロック音楽をいつも聞いているので、米英に目が向きがちですが、世界は広い、豊かだな、と自らの視野の狭さを反省しました。

翻訳の校正はRie Iharaが担当しました。

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