マレーシア:子育てガイドライン−同性愛者を見抜くには

マレーシアのペナンで、財団法人教員マレーシア及びプトラジャヤPTA諮問機関主催の子育てセミナーが、我が子の同性愛徴候を見抜く方法というガイドラインを発行して、物議をかもしている。そのガイドラインは教育省の認可済みだという。

このガイドラインによると、ゲイの徴候は次のとおりである。

− 筋肉質の体つきで、Vネックや袖無しの服を着てその体を見せびらかすことを好む
− タイトで明るい色の衣類を好む
− 男性に魅力を感じる傾向がある
− 女物のような、大きいハンドバッグを持つ傾向がある

An anti-LGBT rally in Kuala Lumpur, Malaysia. Photo by ahmadluqman Ismail, copyright Demotix (4/21/2012).

反LGBT集会、マレーシアのクアラルンプールにて。ahmadluqman Ismail撮影、著作権Demotix(4/21/2012)

 
一方、レズビアンの徴候は次のとおりである。

− 女性への興味を露わにする
− 自分のガールフレンド以外の女性と距離を置く
− 一緒にぶらぶらしたり、寝たり、食事したりする相手は女性の方がいい
− 男性に対する感情が欠如している

Urbestfren はこのガイドラインを荒唐無稽だと思う。

これら全ての悲惨な仮定からみて、マレーシアでは男性の50%以上がゲイだといって差し支えないんじゃない?
だって、彼らは袖無しの、またはタイトな、あるいはVネックなTシャツを着ているんだから。それに、ゲイは明るめの色の服を着て女物みたいなバッグを持って出かけたがるって。ワオ!そりゃ初耳だわ。

人をその外見だけで判断するってことをこれで学習したよ。メルセデス・ベンツ・ファッション・ウィークに出ている男性モデルは全員ゲイだとみなす、みたいな。

レズビアンの方はといえば、彼女らは自分の仲間以外の女性とは距離を置く傾向がある。そりゃ面白い。そこらじゅう百合の花だらけになることは間違いない。ふむふむ。それに、彼女らは女同士でぶらついたり食事したり寝たりするのが好きだ。そのへんの、女同士つるんでお出かけを楽しんでる皆さん、ご注意あれ!!あなたはレズビアンだと判断されてるかも。私がもしママと寝るのが好きならどうなる?私もレズビアンってことに?

固定観念と偏見だらけの、何て面白いガイドラインだろう。

Joel Wong はこのリストを評して、『ばかばかしくってもう正気の沙汰でない』という。

今このガイドラインの全体がもう、問題点ばかりだ。マジで。このリストを作った人(または人たち)は酔っぱらっておかしくなってたか、地獄に飛んでたに違いないくらい、リストのひとつひとつが、あまりにもばかばかしくってもう正気の沙汰と思えない。この馬鹿どもは、同性愛の何たるかを完全に取り違えている。もちろん、同性愛者の考えが判ってるって主張するつもりはないけど、でもムカツク、こんなくだらないもので彼らを侮辱する必要はないだろう。 

個人的には、タイトな袖無しの服を着たマッチョな奴を見て僕が最初に連想するのは、「ゲイだぁぁ!」てことじゃないよ。逆に、訳知り顔でうなづくだろうね。だって、オーソドックスな服がマッチョな奴にはどんなに似合わないか、知ってるから。マッチョが袖無しを着る唯一の理由は、奴らの二頭筋だの三頭筋だの、その他のもこもこした筋肉で袖が裂けてしまうからだ。巨大な筋肉すなわち、袖にとっては最悪にひどい悪夢ってこと。

Jackson Yee は、ガイドラインを承認した教育省の意図に悪意を感じている。

本当のところ、私はこの公表されたガイドラインを受け入れている。第一に、それはあくまでガイドラインだ。ガイドラインとは、提案された一連のヒントを意味する。各個人の特徴をゲイコミュニティ全体にあてはめる必要はないのだ。
第二に、このガイドラインはある程度真実を含むと個人的に思う。というのも、一般に広まってるのはいつも、極端にゲイらしいゲイだ。さらに言えば、『ノーマルっぽい』ゲイには(ゲイとわかりにくいタイプの人たちの見かけについて)これまでスポットライトが当たっていなかったということだ。
そして第三に、このガイドラインはゲイ人権活動の分野の専門家たちを大笑いさせてくれるだろうと思われる。

しかし、『ゲイを見抜く』ためのガイドライン発行の裏にある、教育省の意図には悪意が感じられる。それは、カウンセリングやいわゆる『修復治療』を受けさせるために、ゲイを世間に引きずり出すことになる。それに、教育省の無知さかげんは見ていて滑稽の域だ。 他方、ゲイの人にとって、たぶん同好の士だと見抜く意図は、マレーシアのゲイコミュニティがほとんど一週おきにさらされている脅威に直面しながら、一体感と安心感と温もりを手に入れるためである。

Twitter上も、この話題でもちきりである。

@arunasena このゲイとレズビアンのためのガイドラインで、マレーシアは世界に冠たる厳格な国という地位を不動のものにしたよ。よくぞやったり。

@MrToffee ちょうどこの国も進歩的になってきたと思った矢先に、マレーシア教育省が同性愛徴候を見抜くためのガイドラインを発行したよ。(~_~;)

@jeangreyxx 教育省発行の、同性愛者の子供の見つけ方のガイドラインには、すごく楽しませてもらったわ。マジで。

@ailaazizul< 世界中の恥さらし

@cptai ろくでもないことで有名になったもんだ!(・・;)

@nikisingh ばかげてるどころの話じゃない

@dannyshuster あらま、クローゼットを点検した方がよさそう…

教育省はガイドラインの認可を否定している。しかし、若者が『不健全な活動』に関わるのを防ごうという親たちへ、継続した支援を固く約束した

しかし、教育省は社会的な病気の症例を深刻にとらえ、すべての学生に対し、不健全な活動に関わらないように、直接的にも間接的にも絶えず指導を行っていきます。

校正:Yu Murata

1 コメント

  • gvjapanese

    翻訳者より ---
    海外で性的少数者がどのような目で見られているのか少し興味があったことと、親向けの、我が子の同性愛的徴候を見分けるためのガイドラインという発想が、大真面目なのにどこか可笑しかったので翻訳してみました。
    オタクな息子にせめて三次元に目を向けてと願う親の一人としては、このガイドライン、可笑しいながらもちょっとせつない親心に思えますね。

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