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日本:ストーカー犠牲者を出さないために

カテゴリー: 東アジア, 日本, 女性/ジェンダー, 市民メディア, 政治, 法律

女性に対する暴力の根絶を目指す取り組みをする49の市民団体が、2012年11月19日に緊急声明 [1]を発表した。この声明はストーカー犠牲者を出さないための抜本的な対策を求めるもので、11月6日の神奈川県逗子市 [2]での事件を受けて発表されたものだ。

神奈川県逗子市ストーカー殺人事件 [3][en]は、かつて交際関係のあった男性にストーカーされていた女性が刺殺された事件だ。

性暴力禁止法をつくろうネットワークのウェブサイト [1]によると、

報道によれば、神奈川の事件の被害女性は、事件前に計4回警察に相談し、2011年9月、加害者は脅迫罪で懲役1年執行猶予3年の有罪判決を受けていたということです。しかし、今年3月下旬、約20日間に1089件ものメールが届いたことで被害者が再相談した際には、
・ストーカー規制法にメールを禁じる明文規定がない
・メールの文面に「殺す」というような文言がなかった
ということで、逗子署は、ストーカー規制法違反にも脅迫罪にも当たらないと誤った判断をして、捜査を終了したということです。

これを踏まえ、緊急声明では警察におけるストーカーの認識について次のような抜本的な対策を求めている。

1.全ての警察官を対象に、ストーカー事件を始めとする女性に対する暴力事案について、犯罪の本質を理解するための特別研修を実施すること。研修の実施に当たっては、被害当事者や支援者など、警察外部の講師を招聘すること。

2.ストーカー事件を始めとする女性に対する暴力事案について、被害者の安全を守るための具体的で実効性のある捜査マニュアルを作成し、全ての警察官に携帯させること。

3.つきまとい行為にメールを明文化することはもちろんのこと、被害者が申し立てることによって接近禁止命令が出されるようにするなど、被害者の安全を守ることができるようにストーカー規制法を抜本的に改正すること。

4、DV防止法の対象を「配偶者等」と拡大し、恋人、元恋人などの交際相手を含めること。ストーカー事案についても、保護命令及び緊急一時保護の制度を活用できるようにすること。

5、「探偵業の適正化に関する法律」の第六条(探偵業務の実施の原則)「この法律により他の法令において禁止又は制限されている行為を行うことができることとなるものではないことに留意するとともに、人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならない」について、ストーカーやDV加害者からの依頼によって被害者の居所を探してはならないことを徹底すること。

男性が今年6月に脅迫容疑で逮捕された際、被害者の女性の結婚後の住所と名前が読み上げられた。このことが加害者の男性に女性の自宅を判明させた可能性がある。

加害者は、ユーザーが質問や回答を投稿できるネットの質問箱で3つのアカウントを使って利用し400以上の質問をしたとされている。質問内容は刃物の購入先を問うもの [4]や、殺人犯が逮捕される前に自殺した場合どうなるか [5]逗子市の市バスのアクセス [6]について聞くものなどがあった。

加害者の男性は被害者を殺害した後、自殺したとされる。

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校正:Maiko Kamata [7]