世界初のデングワクチンが来年にも東南アジアで利用可能に

From the official website of the government of the Philippines.

フィリピン政府公式ウェブサイトより引用

5つの東南アジア諸国で試験が行われているデングワクチンの有望な結果を受けて、東南アジア地域の政府と研究者は、世界初のデングワクチンが来年にも利用可能になるであろうと発表した。

ワクチンは、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム、フィリピンの2歳から14歳までの子供ら10,275名で試験され、全体で56.5%の有効性が認められた。ワクチンを3回接種した後、デング出血熱へと子供の症状が進行する可能性は88.5%減少したとされ、また、デング熱による入院リスクも67%減少した。

デング熱と出血熱に対して有効性が確認された、初めてのデングワクチン

研究者たちによれば、デングワクチンまであと1年。

デングウイルスは、ネッタイシマカによって媒介される治療法の判明していない熱帯性のウイルスである。世界保健機関(WHO)によれば、世界人口の約40%が、デングウイルス感染の 危険 にさらされているという。毎年、最大で約1億人の感染者が報告されており、そのうちの75%ほどはアジア・太平洋地域、特に東南アジアで 見られる

デング熱への集団感染は、いくつかの東南アジア諸国において、ここ数年で 増加 している。

初めてのデング熱ワクチンが来年の7月までに登場

マレーシアでの前例のないデング熱症例の急増と、シンガポールでのデング熱による1名の死。デング熱は誰もが戦わなければならない戦争だ!

このことは、地域一帯の急激な都市化が原因であると多くの人々が考えている。マレーシアのウイルス学者であるラム・サイ・キット博士は、デング熱は都市型の病気であると 説明 する。

If you have a lot of people coming to stay in an urban area, then you have a population with a lot more people who are susceptible to infection. A lot of them can come down with dengue virus when they come into contact with it.

都市部への人口流入が増えれば、それだけ感染予備軍が多いことになる。デングウイルスに接触すれば、そのような人々の多くが発症する可能性がある。

先週(訳注:原文掲載日は8月2日)、 フィリピン、マレーシア、 タイ の政府は
4つの血清型のデング熱とその症状の一種である出血熱を防ぐことが出来るワクチンの試験が成功したと発表した。興味深いことに、それぞれの国がデングワクチンの研究において最先端であるかのように報道 している。

その背景には、東南アジア5カ国と協働し、過去20年にわたってアジアでのデングワクチンの 研究 と実験を行っている製薬会社のサノフィパスツールの存在がある。デングワクチンの試験が最終段階に入っているというニュースはこの企業の研究が基になっている。しかしながら、この研究ではワクチンの限界にも 触れられ ている。ライターのダミアン・ガードはこう指摘 する。

Despite the vaccine's broad efficacy, however, a closer look at the data paints a more nuanced picture. Dengue comes in four serotypes, and while Sanofi's treatment did well against variants 1, 3 and 4, it charted just 34.7% efficacy in serotype 2, missing statistical significance in one of Asia's most common forms of the disease. Furthermore, the researchers note, the vaccine's efficacy increased with patient age, with the youngest patients deriving the least benefit.

ワクチンの幅広い有効性が認められる一方で、データを子細に観察すると、注意すべき点を見つけることができる。デングウイルスには、4つの血清型が存在し、サノフィパスツールのワクチンは1型、3型、4型に対しては有効に作用するが、2型に対しては34.7%の有効性しか認められなかった。アジアでもっともよく見られる血清型に対し、統計的な有意性を欠いているのである。さらに、研究者たちは、患者の年齢が高いほどワクチンの有効性は増した一方で、最年少の患者においてはもっとも効果が小さかったことに言及した。

アジアでのデングワクチンが来年にも利用可能になったとすれば、2020年までにデング熱撲滅を目指す世界的な運動にとって、大きな後押しとなるだろう。

校正:Yoshiki Oda

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