衛生問題によりモスクワのマクドナルド4店舗が閉鎖—あなたはもう目撃したか!

Ronald McDonald would probably be horrified at this dysfunctional bathroom at a Russian hospital. Images mixed by author.

ドナルドがもしロシアの病院のトイレが使い物にならない様を見たら驚愕するだろう。画像は著者による合成。

 
ロシアはモスクワ市内のマクドナルド4店舗を「衛生基準に違反している」として閉鎖した。この動きを、制裁戦争の別の局面に過ぎないと見る人もいる。RuNet Echo(ロシア語圏のインターネットを伝えるグローバル・ボイスのプロジェクト)はこの見方を疑問視しており、ロシアのトイレの画像を公開した。

西洋人は一般的に、マクドナルド店内を清潔で使いたいと思えるような場所だと思っていない。食べ物も特筆するほどのものではない。そしてトイレはひどい有様だ。ロシアにおいてはそこまでひどい有様ではなく、ロシアのほとんどのマクドナルドの店舗は清潔であり、とりわけ無料の手洗所としての人気のために、人を集めている。ロシアの公共トイレはいまだに数が不足しており、大都市の市民さえマクドナルドのような場所が引き続き「年中無料トイレ」として機能することを望んでいる。そのためロシアの消費者監視機関が、最も古くからある店舗を含む、モスクワのマクドナルド4店舗を査察し即座な閉鎖を決定したとき、ロシアの住人たちはソーシャルメディアを通して不満を訴えた。

TwitterのネタアカウントFake_MIDRFはフォロワーに向けて、マクドナルド一号店が1990年モスクワに開店したことをなつかしむつぶやきをした。1990年といえば、まだソ連が崩壊していない(ただしほとんどは崩壊していた)頃である。

「我々はマクドナルド一号店を閉鎖したーーソ連も再建しよう!」

食の質や制裁については大量のジョークが飛び交っている(TJournalはロシアについて良いまとめ記事を作成した)。その一方で、一部の議論は一転して暗い議論に発展している。ネット市民は、一般に清潔なマクドナルドが「衛生基準違反」として閉鎖に追い込まれた事について疑問の声をあげているが、それに応じる形で地元の病院の風呂やトイレの画像を投稿する人たちが現れはじめた。Twitterユーザー@jamchronicleがエカテリンブルグから公開した画像はトレンド入りした

モスクワのマクドナルド4店舗が不衛生だとして閉鎖された。確実にエカテリンブルグの市立病院No.23の目じゃないがな。

この元ツイートが数百リツイート拡散されるにつれ、投げられた一石は大きな波紋を呼んだ。人々は自分が体験した恐ろしい病院環境をロシアの各地から発信しはじめた。

TwitterユーザーАллаはサンクト・ペテルブルグから写真を投稿した。

サンクト・ペテルブルグのフィラトフ病院もね

また別のユーザー、サラトフ在住のvladはさらに衝撃的な画像を追加した。

サラトフもね

5strike5はTwitterで、モスクワ郊外のバラシハで撮影した一度見たら忘れられないような廊下を追加した。

バラシハの皮膚病・性病病院には及ばないね

ここ本当に怖いよ。ホラー映画の撮影だってできるくらい。それこそ小道具なしで:)でもここ、郊外と言ってもモスクワ近くなんだよね…

ネット市民が病院のひどい有様に関する話を共有した際、誰も衝撃とは思っていないようだった。その代わり、Виксиは次の事を思い出させた。これら病院は連邦の予算によって運営されているはずであり、そして予算はロシア市民が納める税金によってまかなわれているのである。

この現状を見て考えてもみてください:納税者が納めるお金はどこへ行ってしまったんだ?

マクドナルドの閉鎖騒動が、荒れ果てたトイレ事情に対する恐怖へとエスカレートし、そしてこれらの証言が一種のネット運動へと発展していったことは驚く事ではない。なぜならロシアには見たところ資金不足に悩む病院の歴史があり、そして問題はいまだに取り組まれていないからだ。今年の三月、新しく併合された地域への親善のために、モスクワ州知事はクリミア半島のスダック地域の子供病院に対して4000万ルーブル規模の改築を公約した。RuNetユーザーはこの決定に失笑した。そして「ボロボロに崩れかかった病院を知事がわざわざ訪れる事は絶対にないだろう」と指摘した。

Irina Filippovaはモスクワ付近の地方病院の写真をリツイートし、コメントを付け加えた。

モスクワ州知事は4000万ルーブルの予算を地方予算から出し、クリミアの病院を修繕する。彼は一体、モスクワ州の病院を訪れた事があったのだろうか?

TwitterユーザーDeni88はさらに写真を投稿し、壁が使い古されているコロレボ病院に満員に詰め込まれている子供たちの様子を伝えた。

写真はモスクワ地域のコロレボの病院の様子。同地域の知事はクリミアの病院を修繕するために4000万ルーブルを出資した。

話の終わりになるが、マクドナルドの店舗を閉鎖する事にともなって他のチェーン店(ロシアの他の地方に数百とある)には直接影響はなく、そしてマクドナルドのファン(バーガーキングに行ってもいいと思っている人たち)にも影響をもたらしていない。しかしながら、政府がすでにしてきた事は、ロシアの権力者が国立公共施設の「衛生環境」という問題に直面した時のダブルスタンダードな対応をめぐる議論の口火を切った。この問題は、かつて崩壊した地方政府も同様に直面した問題である。ダウンタウン地域の無料トイレはオマケ程度に考えてもいいだろうが、きちんと機能する清潔なお手洗いを子供病院に設ける事は不可欠である。

好奇心からの行動が目撃者による撮影をもたらし、そしてロシアのとっているお決まりの戦略が明らかになった。それは、市民が政府の決定に対して募らせた怒りが溢れ出した時の政府の対応である(訳注:ロシア下院で2014年4月に「ブロガー法」と呼ばれる規制法案が通過した)。クレメリンはまさしくこういった議論がオンラインでなされる事を恐れてインターネットユーザーに新しい制限を課したのだろうか?もしそうならば、制約が効力を発揮するのは困難であろう(訳注:制限はブログに関してのみでSNSには手が及んでいないため)。ロシア人はソーシャルネットワークを通して鬱憤を晴らす事が大好きだ。

校正:Ayami Chiba

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