サンクトペテルブルク市内河川の汚染原因を突き止める

この記事の原文は2014年11月17日に投稿された。

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サンクトペテルブルク市内河川から得も言われぬ匂い 写真: Kevin Rothrockによる編集

サンクトペテルブルク市内を、人糞の流れる川がある。同河川はノーボエ・デヴャトキノという小さな町に水源を発し、ネバ川に流入する。ネバ川はネバ湾、フィンランド湾へと流下していく。この川の周辺住民は、かねがね周辺の臭気に疑惑を感じていたが、ある環境保護活動家グループは、人糞が濾過されずにサンクトペテルブルク市内の川を流下している証拠を把握していると述べている。

二週間前、サンクトペテルブルクの環境保護活動家グループは、サンクトペテルブルクの外れ12マイルにある郊外の町ノーボエ・デヴャトキノで現地の下水道システムの調査を行った。「大便の行く先」と題する調査で、同活動家グループは、10基の小型水密性GPS追跡装置を一棟のアパート室内の水洗トイレへ投入し、同装置からの追跡信号を地図上に表示する作業を始めた。同活動家グループのウエブサイト上で、彼らは次のように言っている。GPS追跡装置は、アパート外の水路へ直接流出したが、それらは、最小限必要な下水処理とされる濾過さえされていなかった。ノーボエ・デヴャトキノから、5基のGPS追跡装置がネバ湾の水面に流れ着いたが、そこでは電池はもう切れてしまっていたようである。

Map of the GPS-trackers' paths. Via koprotravel.info.

GPS追跡装置の軌跡図  koprotravel.info.より

インターネット上には、活動家グループの出した結論に疑念を抱いている人もいる。追跡装置は地下から電波を発することができただろうかというのだ。こういった異議の多くは、活動家グループが下水道管内の追跡装置を追跡したとする誤解に基づいている。しかし、実験結果を支持する人たちによれば、追跡装置はノーボエ・デヴャトキノにおいては、普段トイレへ流す他のものと同様、地中の下水管に流入することはなく、戸外の水路へ直接流れ出たということである。しかも、濾過さえもされずにである。

しかし、それでもなお実験への疑念は残る。10月29日、活動家グループは、エフゲニア・ドルゴバと名乗る女性を起用して実験の内容を示すビデオを公開した。このビデオには、彼女が小さな飴玉大のものを示してGPS追跡装置(下の写真を参照)の説明をする様子が映し出されている。また、2種類の水密性GPS追跡装置( TKSTAR LK109Twin Mask MT-90)の写真が数枚素早く映し出されている。

Evgenia Dolgova shows off one of the GPS-trackers supposedly used in "Feces Travel."

エフゲニア・ドルゴバは、「大便の行く先」で使用されたとするGPS追跡装置の一つを誇示する。

この2つの装置の電池は両方とも約160時間持ち約1週間、信号を受信することができる。しかし、この2つの装置の表面積はほぼ4平方インチ(訳注:約5㎝×5㎝)であり、いずれもユーチューブ・ビデオで彼女の指の間に納まっていた物体だとは信じがたいものである。

11月17日、ノーボエ・デヴャトキノの住民の一部はこの実験のことを知り、地元の下水管理会社のウエブページに、請求書に示された下水道使用料200ルーブル(約4ドル)を赤で囲んだ写真を載せ、 苦情を投稿し始めた。活動家グループは、ハッカー攻撃により自分たちのウエブサイトに一時的障害が生じていたとしていたが、現在彼らのウエブサイトは地域住民からの苦情にリンクされている。

最新情報(2014年11月18日): RuNet Echoは、この実験の責任者と接触することができた。そして、彼らが使用した追跡装置は、ユーチューブで示した装置とは異なるものであることを確認した。活動家グループによると、中国製のGPS/GLONASS(訳注:下記※を参照)をカスタマイズし、小型の水密性容器に収納した。それぞれの容器には小さな気泡を封入し水上を浮遊できるようにした。次に、この容器を食塩混合物で覆い、水に投入時は水中に沈むようにした。食塩混合物が溶けると、追跡装置は再び浮き上がり、信号を発信できるようになる。同責任者によると、この装置の電池は電気を節約するように設定されていて、1時間に1回信号を送るようになっている。すなわち、上記地図に示された軌跡は、推定により描かれたものである。

※GPS/GLONASS
GPS(Global Positioning System)は、米国が開発した人工衛星利用の測位システム。
GLONASS(GLObal NAvigation Satellite System)は、旧ソ連が開発した人工衛星利用の測位システム。

校正:Rina Suzuki

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