ドイツ:ザクセン州立図書館、所有画像100万点にCCライセンスを適用

Bildschirmabdruck der Startseite der Digitalen Sammlung der SLUB

ザクセン州立図書館デジタルコレクション、ホームページのスクリーンショット

ドイツにある、ザクセン州立図書館兼ドレスデン工科大学図書館(以下「ザクセン州立図書館」とする)、通称SLUBは現在、所有するデジタルコレクション(訳注:デジタル化した資料の検索・閲覧サービス)の大部分を、CC-BY-SA-4.0ライセンスの条件下で誰もが使用できるようにした。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスは、作者が自身の作品に対して、第三者に特定の使用権を許可するシンプルなツールだ。クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(以下「CCライセンス」とする)にはいくつかの異なる使用条件がある。前述のドイツ・ザクセン州立図書館が所蔵コレクションに関して所有する「CC-BY-SA-4.0ライセンス」は、原作者の名前を表示し、改変した場合には元の作品と同じCCライセンスで公開することを条件に、営利目的の使用が許されるものだ。

同コレクションは、東洋の古文書に加え、現存するマヤ文明の絵文書3つのうちの1つも所有するが、新しくCCライセンスを適用することでその利用の仕方が大きく広がったことになる。SLUBコレクションは72,365タイトル、88,268冊から成り、さらに様々なメディア形式の所蔵品も150万点ある。将来的には、同コレクションの中の文化的遺産のおよそ75パーセントにCCライセンスが付与されるだろう。例外となるのは他の国でデジタル化されたものや、他の法の規制、契約によって自由に配布することが許されていないものの場合だ。

ザクセン州立図書館は、パブリックドメインにおいて、収蔵品デジタル化の先駆け的存在であり、ドイツだけでなくヨーロッパの電子図書館(ヨーロピアナ)に重要なコンテンツを提供している。同図書館は、運営するブログの中で、コレクションを提供するに至った経緯について語った。

Wir sind davon überzeugt, dass das kulturelle und wissenschaftliche Erbe der Bibliotheken am besten genutzt werden kann, wenn es möglichst frei im Internet verfügbar ist. Auch die SLUB selbst profitiert bei der Entwicklung neuer Dienste von offenen Lizenzen (…). Entsprechend sollen die digitalisierten Bestände der SLUB ebenfalls offen und für innovative Projekte optimal verwertbar sein. Künftig sind unsere Digitalen Sammlungen einschließlich der Bilddatenbank der Deutschen Fotothek daher so weit als möglich unter einer Lizenz veröffentlicht, die der Definition für Offenes Wissen (Open Definition) entspricht.Wir sind uns sicher, dass sich die gleichermaßen berechtigten Interessen nach größtmöglicher Offenheit wie nach angemessener Vergütung schöpferischer Leistungen im Bereich von Wissenschaft und Forschung gut miteinander vereinbaren lassen.

図書館が所有する文化的遺産や科学的遺産は、インターネット上で自由に使える時に最も活用してもらえる、と私たちは確信しています。それにザクセン州立図書館も、より自由度が高いライセンスを所蔵品に付与することで新たに生まれたサービスから恩恵を受けています […]。従って、同図書館のデジタル化されたファイルも、創造的なプロジェクトのためにオープンで最大限活用できるものであるべきです。よって、今後Deutschen Fotothek(訳注:同図書館による、主に芸術史や文化史に重点を置いた写真、画像を扱う図書館)の画像データベースを含む私たちのデジタルコレクションは、オープンの定義(訳注:著作権に関して寛容な定義で、CCライセンスもこれに準拠している)と合致するライセンスの下で、可能な限り幅広く公開していくことを予定しています。最大限オープンな著作権へ当然の関心を寄せる一方で、科学や研究の分野におけるクリエイティブな仕事へは適切な報酬を支払う。この2つは十分両立していけるものだと私たちは信じています。

商業的な使用のための可能性

Flurfunk Dresdenというウェブサイト上では、このコレクションが将来どう使われるかという憶測がすでに飛び交っている。

Darunter findet sich zum Beispiel die “Bibliotheca Gastronomica”, eine Sammlung alter Kochbücher. Mit der neuen Lizenz könnte man diese problemlos selbst zu einer Publikation machen und das fertige Produkt auch verkaufen – vorausgesetzt, man bietet die Inhalte unter den gleichen Lizenzbedingungen an (und wehrt sich also nicht, wenn jemand die Idee kopiert oder weiterentwickelt). Da es sich um digitales Material handelt, wäre z.B. auch möglich, aus den alten Rezepten eine kostenpflichtige Smartphone-App zu machen. Denkbar wäre auch, den Dresden Codex als eBook mit Übersetzung herauszugeben. Oder das Wagner-Material zu nehmen und…

このコレクションの中には、例えば昔の料理本を集めた、「Bibliotheca Gastronomica」も含まれている。そして、その本に新たに付与されたCCライセンスの下では、簡単に編集し、出版物としてまとめることができるし、それを販売することもできる。 ただし同じ著作権規約の下でその作品を提供することを条件とする。さらに、もし別の誰かがそのアイディアを真似したり、もしくはそのアイディアから発展させたとしても文句を言うことはできない。なぜならこれはデジタル素材に関わる話だからで、例えばこの古いレシピから有料のスマートフォン用のアプリを作ることも可能なのだ。同様に、ドレスデン絵文書も電子書籍に姿を変えて出版されるということも考えられる。もしくは、ワーグナーの資料を使って…。

ここでいくつかのザクセン州立図書館のデジタルコレクションから、CC-BY-SA-4.0が適用された作品を紹介しよう。同図書館のウェブサイトは英語、ドイツ語での閲覧が可能だ。

ドレスデン絵文書(ドレスデン・コデックス)の名で知られている、マヤ文明の絵文書も同コレクションの中の一つで、世界で唯一、一般公開されている。その古文書は両面39ページにわたり書かれており、広げると全長は3.96 mにもなる。その内容は主に儀式と予言のカレンダー、天体表、月食と日食、天気と収穫の予言が含まれている。

ザクセン州立図書館デジタルコレクションからマヤ文明の絵文書の1頁。CC-BY-SA-4.0

東洋の古文書もまた、インターネット上で閲覧可能な作品に含まれる。この東洋コレクションは主に、オスマン語、アラビア語、そしてペルシア語からなり、加えてチベット語、モンゴル語、古代ヘブライ語の文書も数多く所有している。

ドイツの歴史の記録もコレクションには含まれる。例えば14世紀の法律の本、ザクセンシュピーゲル(訳注: 中世ドイツで広く使われ、後世ヨーロッパに多大な影響をもたらしたとされる法書)や、科学技術の歴史に関する文書だ。このコレクションの中には、音楽が好きな人が興味を持ちそうな品々もある。例えばリヒャルト・ワーグナーの「使徒の愛餐」(原題 : Das Liebesmahl der Apostel)のオーケストラのための草稿のオリジナル、 歌詞もいくつか添えられたオペラ「タンホイザー」の初版楽譜、論文、手書きの書簡と、「さまよえるオランダ人」(原題:Fliegenden Holländer)のウィーン国立歌劇場での初公演の歌手のパートが書かれたものも、ここで目にすることができる。

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リヒャルト・ワーグナーによるオペラ作品、「さまよえるオランダ人」(原題 : Fliegenden Holländer)。ザクセン州立図書館デジタルコレクションより。CC-BY-SA-4.0

Deutschen Fotothek(ドイツ写真コレクション)には、後世に影響を与えた写真家による何千もの写真、地図、スケッチやその他の数世紀に渡る資料がある。

Rosswein, Saxony, in 1928: Hulda Hanisch in her living room. From the SLUB Dresden Deutschen Fotothek. CC-BY-SA-4.0

ドイツ・ザクセン州の街ロスヴァインで、1928年撮影されたもの。モデルHulda Hanischの自室にて。ザクセン州立図書館デジタルコレクションより。CC-BY-SA-4.0

校正:Takako Nose

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