イスラエル:嘘と真実と情報の伝播

兵士が幼い女の子を踏みつけている次の写真は、ここ数日(訳注:原文が投稿された2012年2月3日現在)ソーシャルネットワーク上に広がっている。写っているのは、イスラエル国防軍(IDF)の兵士とパレスチナ人の女の子であるという。この写真の投稿者 Wesley Muhammad [en] は、自分も誰かのニュースフィードでそう書かれているのを見つけただけで、なぜ自分のページが発端となり、ここまで伝播したのか不思議だと主張 [en] している。そして、写真の投稿から2日と経たないうちに(今では削除されているが)500を超えるコメントが寄せられた。その中にはこの写真が偽物であるという主張もあった。

Yossi Gavni は写真に写っている兵士がイスラエル国防軍(IDF)のものと武器も服も異なることを強調し、この写真が主にイスラエル人の間で広まっているという反論を投稿 [en] した。どうやらこの写真は、実はシリアでのデモの時に撮られたものであるという。そして昨年に twitter 上で広めるようフランス語で投稿 [fr] されたらしいというのである。しかしながら、この写真の真の出処はアラブのブロガーである Omar Dakhane [en] が見つけ出した。撮影地はシリアでもイスラエルでもなく、バーレーンでの大道芸のパフォーマンスであったのだ。(次の写真)

メディアにおける情報操作と拡散が当たり前の昨今において、この話を教訓として世の中を巡る全ての情報を鵜呑みにしてはいけないと締めくくることもできる。しかし何人かのイスラエル人たちの判断は異なるようだった。伝播性の偽の情報に対しての答えは、ユーモラスな情報の伝播が一番であると考えたようである。(原文が投稿されるまでの)直近の24時間で、兵士を様々なキャラクターで置き換えたたくさんの写真が 10Gag [he] からFacebook上を出回っていた。つまりそれこそが 9GAG [en] (訳注:アメリカ発祥の面白い画像などを投稿するサイト)上のシャレや最初に伝播した写真の作成者への答えだったのだ。

その例として、兵士がIDFの制服を着た犬に置き換えられた写真 がある。これはおそらく過去にあった、IDFがパレスチナ人を攻撃するために犬の訓練をしているという疑惑に対してユーモラスにこたえたものであろう。女の子を踏んでいる他のものにはスターウォーズ帝国の兵士アングリーバードアンドロイドアバターナヴィチャック・ノリス などもある。

写真を伝播させることで、イスラエル人たちは「ソーシャルメディア言語」でこのような状況は滑稽で作りごとめいていると言っているが、この写真の拡散の元となった Wesley Muhammad はこう 結んでいる [en] 。
「私は写真を取り下げた。(とはいえ写真に写っているようなことは、イスラエルとパレスチナの紛争の中で実際に起こりうる)」と。これに対してShani Yaakov は、兵士がパレスチナ人に好意的で友好的に交流している写真のコラージュを掲載し「これがIDFの真実の写真(訳注:8月4日現在、リンク先は閲覧できない状態になっている) 」(次の写真)と返した。他の写真の事例と同様に、真実は、おそらく両者の間のどこかにある。

 

校正:Maiko Kamata

1 コメント

  • MariWakimoto

    「真実は、おそらく両者の間のどこかにある。」胸打たれる言葉です。世界には常に自分の見えていない側面があり続けるのですよね。

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