ドイツ:ツイッターが政府の要請による当事国でのブロックを初適用

2012年2月、Twitter は各国の基準によって個々のツイートとアカウントをブロックできる方針を導入した [en]。政府が指定のツイートもしくはアカウントのブロックを要請する裁判所命令を提出した場合、Twitter は従うことになる。ただし、ブロックの行使は裁判所命令を提出した国のみで行われ、当事国以外ではブロックされたツイートやアカウントは通常通りに表示される。

Screenshot of @hannoverticker page

@hannovertickerウェブページのスクリーンショット

 

22012年10月、Twitter は初めてこの方針を適用し、ドイツの極右団体 Besseres Hannover (@hannoverticker) [en, de] のアカウントからの ツイートをブロックした [en]。ドイツ政府は同団体の活動を正式に禁止、資産も没収しており、一部の活動員は人種的憎悪の扇動と犯罪組織を結成した罪で起訴されている [en]。さらに同団体はトルコ系でドイツ生まれの保守政治家 Aygul Ozkan に脅迫の動画を送ったことが疑われている。

Besseres Hannover はブロックの解除を法廷に訴える [en] ことを表明した。しかし現状ではTwitterのブロックはドイツの法律に従って行使されており、ドイツ国内での運営の維持には必要な措置だ。

Twitter の総合弁護士 Alex MacGillivray は Twitter 上でドイツ警察の@hannoverticker アカウントのブロック要請の文書 [en] にリンクを張った上で、この件に関して声明を出した。以前出されたTwitterの技術の利用とコンテンツの停止 [en] に関しての声明 [en] との整合性を持たせるため、Besseres Hannover のアカウントの抹消ではなく、ドイツ国内からアクセスできない処理を行った。

この件はTwitter がどのように新方針を運用するのかを示す好例となった。Twitterが決定したブロックの方針については世界中から批判 [en] が集まっており、今回の1つの国に限定したブロックはツイートが問答無用で消されてしまうわけではないという利点を示したからだ。

ただし今回の措置によってこの方針に関する懸念がすべて解消されたわけではない。ドイツ人がブロックを回避したい場合には中国などでよく使用されている仮想プライベートネットワーク(VPN)を通してインターネットに接続可能だ。その一方でアラブの春の時のような反体制派による批判的なツイートが、他国からはアクセスできても当事国からは閲覧できないということも起こりうる。確かにTwitter の方針はツイートを一緒くたにブロックする方針(この代案では特定の国ではるかに厳しい検閲を招くことになる)より権利を尊重するものではあるが、それでも各国の地方もしくは全国的な世論や運動に影響し得る言論が制限されることになる。

 

本記事は、オックスフォード大学の研究プロジェクトに関するブログFree speech Debate [en] に掲載されたオリジナル記事の修正版である。

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