フィリピン:台風被災者救済策

Tacloban typhoon survivors wait in line during a relief distribution. Government photo

救援物資の配給を待つ台風被災者の列 タクロバンにて フィリピン政府提供写真

グローバルボイスの特集記事「フィリピン台風30号被害」もご覧ください

大型台風ハイエン(フィリピン名:ヨランダ、訳注:以下台風30号と表記する)がフィリピン中部を襲ってから1週間経過した今、この記事を執筆している時点で、2,357人が死亡し、338,000人が避難所に宿泊している。救助隊が、サマル州およびレイテ州の奥地に到達し、現地の状況を把握することができれば、死傷者の数は増加するとみられている。

高潮がレイテ州の州都タクロバンを襲い、数千人が死亡した。いくつかの町は壊滅状態に陥り、多くの人が家を失った。被災者は政府の救助が届いていないと 不平を漏らしている。避難者の中には餓死している者があるとの情報もある。しかし、政府は、被災者への国の援助が滞っているとの批判を受け入れていない

多くの命を救い、被災地を復興するために寄付等の素早い行動が求められている。幸い、世界中から援助の手がさしのべられている。政府は世界中から寄せられる寄付金の受け入れが可能な組織のリストを作成した。財団法人や教育機関の中にはあらゆる援助を受け入れているものもある。寄付金は iTunes携帯電話からも送金できる。ウエスタンユニオンは平成25年11月末までフィリピンへの送金手数料を 無料としている。

筆者は、Citizens’ Disaster Response Cente(市民災害対応センター)、National Alliance for Filipino Concerns(在米フィリピン人協会)、およびSagip Migrante(サギップ・ミグランテ)の救援活動を推奨する。

The govenrment's disaster mitigation and response map. The red areas are the most affected provinces in the Visayas.

政府作成の災害軽減対応マップ。赤色で示した部分はヴィサイヤ諸島内の最も被害の激しい地域

フィリピン政府の 公式ウエブサイトに台風30号の被害状況と救援活動の最新情報が掲載されている。行方不明の親族や友人を探している人はGoogle Person Finderおよびフィリピン赤十字社の 安否調査システムを利用して、捜索が可能である。一方、フィリピン政府は台風に見舞われた地域死亡者のリストをネット上に掲載している。

台風30号に関するツイッターのハッシュタグは下記の通りである。
被害状況をモニタリングする主ハッシュタグは#yolandaph、救援活動に関するものは#reliefph、捜索救出に関するものは #rescueph、行方不明者捜しに関するものは#tracingphである。

ロバート・プラザは、ソーシャルメディアが、災害発生時およびその後の連絡調整にどのような役割を果たしているかということについてコメントしている。

It is definitely the perfect time for social media to show its wares, unfortunately, in such devastation. So far, social media did not disappoint ? except of course, in areas where powerlines and communications were down, and that’s understandable. Outside the affected areas, however, it’s a different story: social media became a convenient tool for more people to respond to the calamity.

今回のような災害は不幸なことではあるが、ソーシャルメディアがその有用性を示すには絶好の機会である。これまでのところ、ソーシャルメディアの働きは期待を裏切っていない。電力網および通信が麻痺している地域はもちろん例外だが、これは仕方のないことだ。しかし、被災地以外の地域では、別の動きが展開している。すなわち、ソーシャルメディアは多くの人にとって、災難に対応するための便利な手段になっている。

@jeffcanoyからの転載写真:レイテ島 被災地域の状況 #YolandaPH

A damaged church in Aklan province. Photo by Aklanon AKO ( I Love Aklan)'s Facebook Page

アクラン州 被災した教会 Aklanon AKO(アクランを愛す)のフェースブックより

A relief packing operation in Tacloban. Government photo

救援物資詰め込み作業状況 タクロバン 政府提供写真

The contents of the government's food pack given to typhoon survivors

政府から台風被災者に配布された食料一式の内訳

救援隊がヘリでイロイロ州Concepcion市内Pan de Azucar島に到着。救援活動は東ヴィサヤ地方だけに限ったものではない。

悲劇後最初の一週間が過ぎたことを告げるようにタクロバンの空に虹が現れる。希望が見えてきた。

マニラタイムズは政府が救援活動で優先すべき事業を掲載している。

Countless dead remain unburied and their decaying bodies have the potential for spreading disease. At the very least, the stench their cadavers emit makes rescue and recovery work unbearable.

Then there are the seriously injured or ill. If they do not receive medical assistance soonest, they will wither and die, and become part of the statistics that is already too painful to bear.

There are also the hundreds of thousands who have nothing, literally nothing. No homes (as these were blown away), no food (as what food they had was lost during the storm), and nothing but the clothes on their back (as all their clothes were likewise hopelessly damaged by Yolanda).

無数の死体が埋葬されないままである。それらが腐敗していくと病気が蔓延する危険がある。控えめに言っても、死体が発する悪臭により、救援作業および復旧作業は耐えがたいものになっている。

そして、重傷者や重病にかかっているものがある。彼らは至急、医療援助を得られなければ、衰弱して死んでいくだろう。その数は、すでに途方もない値を示している統計値にさらに上積みされこととなる。

何十万人もの人がすべてを失った。文字通り何もないのだ。家を失ってしまった(吹き飛ばされてしまった)、食料を失ってしまった(持っていた食料は嵐の間になくなってしまった)、背中に背負っている衣類以外はすべて失ってしまった(その衣類も台風30号で同様にどうしようもなく痛んでしまった)。

Boo Chancoは政府の救援活動が遅延していることを 批判するのは、価値あることだと言っている。

I now doubt the validity of calls to stop criticizing government's slow pace of relief operations. it looks like criticism, specially if coming from foreign media, is just the thing to get our bureaucrats to get a sense of urgency. We ought to unite as a people to get through this tragedy but it doesn't mean we shouldn't point out how things could and should be made better along the way.

私はいま、政府の救援活動の遅れを批判するのはやめよう、という呼びかけについては、その正当性を疑う。批判は、海外のメディアが発したものならばなおさら、我が国の官僚が緊急性を自覚するようにするためにはまさに必要なものだと思える。国民がこの悲劇を乗り切るために、我々は団結すべきだ。しかし、そのことはこの先、物事をどのように改善していくことができるか、また改善すべきかの議論を止めてしまうということではない。

政府 ソーシャルワーカーのVioleta Lopez Gonzagaは、(ミラ・アギラルのフェースブックを通じて)国民に対して、政府の対応を評価するに当たってはより配慮が必要だと訴えている。

We are slow, yes. But realize that only about 5 staff including the director and asst director who stay in our Office in Tacloban are reporting for work. We dont know if other staff are alive or injured or even dead. We have no time to look for them.

Roads still blocked with debris so no direct transport. Our field workers are humans too. These human beings, who themselves were victims too, is the government under fire now for being slow. We are not fast enough even for our own standard but please understand that Yolanda is beyond what we expected, beyond what we prepared for.

政府の対応は遅い、それは確かだ。しかし、タクロバンの政府事務所にいる所長および副所長を含め、たった約5名の職員で業務処理をしていることを理解してほしい。他の職員が生きているのか、負傷しているのか、死んでしまったのかさえ分からないのだ。彼らを探している時間はないのだ。

道路は未だに瓦礫でふさがれているため、交通手段が遮断されている。政府の現場職員も人間である。私たちは被災者であると同時に、対応が遅いと非難を浴びている政府職員である。政府の対応は職員の目で見ても十分に早いとはいえない。しかし、台風30号は想定以上のもので、政府が準備をした範囲を超えたものだということをどうか理解してほしい。

校正:Rie Tamaki

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