台湾:絶滅寸前のタインワンツキノワグマ、パンダへと逸れる注目

The exhibition of 1600 pandas and 200 Formosan black bears. Photo by figarotwo. CC: NC.

1600個のパンダと200個のタイワンツキノワグマの展示作品。figarotwo撮影。CC: NC

赤ちゃんパンダYuan Zaiは2013年7月に生まれて以来、台湾のメディアから注目を浴びて続けている。大勢が台北市立動物園にその赤ちゃんを見に行くなか、2001年に台湾の代表的な野生動物として最も多くの票を得たタイワンツキノワグマに比べ、なぜパンダがこんなにも注目されるのか疑問をもつものもいた。中国本土から台湾に贈られたYuan Zaiの両親は、外交の一部とも考えられている。

台北市立動物園のパンダが、広くひっきりなしにマスコミに報道されていることに加え、今年の1月から台北市政府は自然保護を促進するために、Paulo Grangeonがデザインした1600個の張り子のパンダの展示会を開いている。さらに展示のために200個のタイワンツキノワグマと1個のアオガエルがデザインされたにもかかわらず、主に注目を集めたのはパンダだった。政府のパンダの推進への意欲的な取り組みを批判するものもいた。 

林野局自然保護班班長のKuo-Chang Linはパンダの資金源について[zh]説明することで、この状況を明確にしようとした。

Satire on the lack of attention given to Formosan black bears: the mother bear paints her baby bear white while saying, 'It is my fault for letting you grow up here.' By 布魯斯 (Bruce). CC: NC. CC: NC.

タイワンツキノワグマへの注目不足を皮肉った、布魯斯(Bruce)によるイラスト。母親のクマが子どもを白く塗り、「ここで育ってしまったのは私のせいよ」と言っている。CC: NC. CC: NC

最近很多人質疑:政府只關心大陸來的貓熊,反而對本土的台灣黑熊不聞不問。
其實農委會(林務局、特生中心)、各國家公園對黑熊的保育工作每年投入的經費也有好幾百萬,倒是沒給貓熊一毛錢。貓熊的經費都是台北市立動物園自己編的,但他們確實很會行銷,廠商業者贊助資源更多。

このごろ多くの人がこのような質問をする。なぜ我々の政府は台湾固有のタイワンツキノワグマよりも、中国から贈られたパンダのことしか気にしていないのか。
現在、行政院農業委員会と台湾の国立公園にはタイワンツキノワグマ保護のために何百万ニュー台湾ドルもの予算がある。一方で、政府はパンダの保護に資金を出していない。(台北市政府から一部助成を受けている)台北市立動物園にはパンダのための予算がある。それに加え、事業を宣伝したい会社からパンダのためにたくさんの資金を集めた。

タイワンツキノワグマ保護協会 [zh]会長のMei-Hsiu Huangは、タイワンツキノワグマにもっと多くの注目が集まること [zh]を望んでいる。

貓熊是國際上公認的保育代言人。例如,世界自然基金會(WWF)以貓熊為會徽,作為保護所有生物的象徵。因此,對我們而說,貓熊之所以來台灣,不就是來關心牠的熊族至親台灣黑熊嗎?當我們對這位嬌客善盡待客之道的同時,自然不該忽略其初衷。

パンダは自然保護の代表として国際的に認められています。たとえば世界自然保護基金(WWF)はパンダをロゴとして使っていますし、それ自体がすべての自然保護の象徴となっています。だから私たちは、そのパンダが親戚であるタイワンツキノワグマを訪ねるために台湾にやって来たと言い、保護を推進することができます。パンダを来賓として扱いながらも、タイワンツキノワグマの保護という当初の目的を忘れてはなりません。

Huangはさらにタイワンツキノワグマの直面している課題[zh]について解説した。

相較於野外貓熊2千隻的族群量,台灣黑熊若據最近的估計資料則僅約為200-600隻。同樣身處瀕臨絕種的窘境,台灣黑熊不僅族群數量更讓人擔憂,其所面臨的持續威脅和困境更是來台的貓熊所難想像,這些包括政府和民眾對於台灣黑熊的保育承諾和行動不足、保育和研究的資源短缺、非法狩獵、野味和中藥市場持續發展等等。綜觀過去20年國內關於台灣黑熊的各項保育經費,每年約2百萬元,總計約4千3百萬元,相當於日本政府對其黑熊單單一年的經費挹注。

野生のパンダが2000頭いるのに対し、最近の推定値によると、タイワンツキノワグマは200から600頭ほどしかいません。いずれのクマも絶滅寸前ですが、個体群ではタイワンツキノワグマの方が特に心配です。台湾にやって来たパンダは、世界一の保護地区で育てられました。保護への責任や行動が十分ではない政府と国民、保護および調査の資金不足、食料や医療目的による密猟の増加など、タイワンツキノワグマの直面している脅威なんて、パンダには想像もつかないでしょう。過去20年間のタイワンツキノワグマの年間予算を見てみると、だいたい200万ニュー台湾ドル(約65,000ドル)です。この20年で私たちは、日本のツキノワグマ保護の年間予算と同額の、合計4300万ニュー台湾ドル(約1410万ドル)を費やしました。

A poster from the #Congressoccupied protest. The black bear is saying, 'Let us save our own country.' Photo by Chao-Hua Wang. CC: NC.

#Congressoccupied反対運動のポスター。ツキノワグマが「自分たちの国を守らせて」と言っている。Chao-Hua Wang撮影。CC: NC

2013年3月にタイワンツキノワグマは正式に台湾観光局のマスコット[zh]になり、台湾の観光事業の宣伝を担当することになった。物議を醸している中国との中台貿易協定への反対運動のなか、タイワンツキノワグマは抗議者の一部から台湾のシンボルとして選ばれた。

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