ロシア:隣人たちをつなぎ、命を救う

2010年夏、ロシア各地で発生した泥炭火災が広がりを見せ、息もできないほどの煙が村落を襲っていた。そうした時、インターネットを通じて情報を整理する人たちが現れた。ロシア政府の対応が遅くまとまりがなかった一方、ブロガーらは、小さな町にいるインターネットユーザーがどこで火事が続いていて、どんな物資が必要とされているのかといった情報を掲載することができる Russian-Fires[ru]というサイトをすばやく始め、対応した。

このサイトは非常に注目を集め、一日の訪問者数が17,000人にまで達したこともある。

火災の危機が去ったとき、この計画を進めたブロガーら(Anastasia Severina, Alexey Sidorenko, Lev Zvyagintsev, Valery Ilyichev, Gregory Asmolov)はウェブサイトがまだ活気づき、盛り上がっていることに気が付いた。ユーザーらは他の問題や彼らの町で必要としているものについてメッセージを送り続けていたのである。 

「みんなが、このサイトが必要なときに必要な場所へ助けを送るのに効果的な場所だとみなしたんです。」とSeverinaは言う。

ウェブサイト「Virtual Alarm(オンライン・アラーム)」は援助や物資の要請の地図を作り、対応できる地元の人々と連携をとっている

ウェブサイト「Virtual Alarm(オンライン・アラーム)」は援助や物資の要請の地図を作り、対応できる地元の人々と連携をとっている

新たな方法で人々をつなぐ

Russian-Fires[ru]の成功からヒントを得て、このブロガーらは新しいサイトRynda.org(Virtual Alarm)を立ち上げた。このサイトは現在、「一般地図」、「火災地図」、「献血地図」の3つの地図で構成されている。

何らかの要請を出した人々の位置は赤で表示され、援助の申し出は緑で表示される。Severinaいわく、「パソコンの操作がわからない人でもこのウェブページへ行き、「支援要請」または「援助申請」の2つのボタンを見つけることが出来るように、サイトをできるだけシンプルにしている」そうだ。

モスクワにあるこのサイトチームは、物理的に物資を運んだり、受け取ったりしているわけではない。Virtual Alarmは、同じ町に住む支援が必要な人とその支援を提供できる人とを結びつけているのである。 

「たとえば、ある母親が子供服のような物資を必要としているとします。このようなとき、モスクワのNGOからウラジオストックに服を送っても、意味がありません。」とSeverinaは説明する。一方Virtual Alarmの場合、支援や物資の要請は地図上に表示され、支援を申し出ている登録者にはメールで新しい要望が届くようになっている。

彼らは援助要請に誰かが対応していることを確認するため、約二週間後には、未解決の表示が出ている要請全てをしっかり検討し、支援要請への対応にもれがないようにしている。

献血者の地図化

Virtual Alarmの最新の地図はロシア中の献血と血液バンクを示している。献血センターの位置を表示し、また献血を必要とする人と近くにいる同じ血液型のドナーを結び付けている。
登録者は自分の行った献血についてコメントを載せることができ、Severinaはそれにより、少なくとも年に一度の献血がどれほど簡単かつ必要とされているかが、人々に伝わることを期待している。

献血をする女性

ロシア保健・社会発展省のサイトによる献血推奨の画像

2010年の統計[ru]によると、ロシアで毎年献血をしている人は1000人中13人ほどだが、ヨーロッパやアメリカではその割合はもっと高く、ロシアの3~4倍にものぼっている。ロシアの保健・社会発展省は、病院や診療所が十分に機能する為には、少なくとも1000人中25人の割合[ru]に達する必要があると述べている。

同省は先日、国民に情報を提供し、より簡単に献血に参加してもらえるよう、ホットラインを設置するとともに、“I’m a donor(私はドナーです)”というタイトルのウェブサイトを立ち上げた。

Ryndaは登録者にボランティアへの感謝として、割引や映画のチケットのような小さな謝礼をするため、近い将来に地元の企業との提携を望んでいる。

将来のこうした地図の利用について、Severinaは次のように述べている。「もし万が一、あってほしくはないけれど、何かが起きたり新たな危機が生じるときは、私たちは新しい地図を作って、人々をつないでいきます。」

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