ロシア: ブログに対するさまざまな意見

最近の新聞のインタビューで、作家のドミトリー・ブイコフ はブロガーについて次のように語っている。(原文記事の画像)

LiveJournal(ライブジャーナル)やその他のブログを持っている人は皆明らかに精神異常のある人間だ。

ギャラリーオーナーのマラット・グエルマン (ライブジャーナルユーザー名:galerist)は自身のブログで、ブイコフの辛らつな意見について次のように答えている。(原文:ロシア語)

[前略]

インターネット以前の時代に日記、それも大衆の目に触れることを想定して書かれた日記がなかったと言えるだろうか?私の場合、いつの時もフィクションより日記を読むほうがずっと面白いものだった。 日記や書簡集のことだ。1970年代後半、私は多くの日記を読んだ。何冊も。私は作家たちの日記を読むことで、学生時代にひどく苦しめられた”古典文学”と和解した。トルストイの日記(「戦争と平和」ではなくね)が私をすっかり変えてくれた。誰かの日記を読むことはいつの時代でも特別な楽しみであった。そして誰かが読むように日記をわざと机に置き忘れていくことも。

日記に真実味があるのかって? ライブジャーナルの友達ページの日記の内容は、ちょっとした文学作品よりも生々しい。 それは演劇でいう「スタニスラフスキー・システム」 や「自然に人生を演じる」リアリズムではない。しかしそれが人生そのものだ。 そこには伏線もなく、文学的表現や美辞麗句もない。

Eメールによる文通の復活、ブログによる日記の復活というのは、文学の発展において最も大事な要素である。なぜなら、それらが携帯メールポエムのような全く新しいジャンルの文学ではなく、古代からある文学ジャンルだからである。

[後略]

以下はこの投稿に対するコメントである。ブログとは何かについてさらに多くの意見が出されている。

imperator_wawa:

この意見に賛成です。ライブジャーナルはいろんな意味でもっと広いものだと思います。日記や回想録もいつの時代もずっと面白いものです。それはやはり真実味があるし、筆者や筆者の人生を目にすることができる。そして筆者自身の視点で見ることができるからです。 [後略]

pavel_zhagun:

今考えていることや出来事を他の人が読めるように書き留めておく機会を求めることは、最も原始的な人間の欲求です。それは子供時代から根付いていて、フェンスや壁に文字を書き付けたりする行為も同じ性質のものです。既に文化的で完成された物語である「日記」は、隠されていることで「秘密」や「謎」を暗示するのです。その点が読者を他のどの文学的試みよりも惹きつけるのです。

warsh:

日記っていうのは自分のノートやハードドライブにとっておくべきものだろう。ライブジャーナルはマスメディアなんだ。

iguanart:

プーシキンの時代の「アルバム日記」っていうのはどうだろう?他人のアルバムの「スレッド」に詩の一節やスケッチの形であしあとを残すっていうのは?スキャンして、ライブジャーナルに載せるだけだよ。

rikrok:

私もちょうどライブジャーナルとは何なのかを考えていました。そしてわかったのは、これはいわゆるコミュニケーションの新しい形のひとつなんだということです。そして、まったく新しいものに対して多くの人々が取る反応というのは拒否反応なのです。 ライブジャーナルを通して友達を作るのはすばらしいことだと思います。自分と同じような考えを持った人を見つけることは大事なことですが、日常生活の中でどうやって見つけられるでしょうか?「みんな!僕はこういうものに興味があって、こういうことを考えてるんだけど。ちょっと聞いてる!?」なんて仕事場などで叫ぶことはしないでしょう。

もちろん、病的なほどのインターネット中毒は問題があるでしょう。そういう意味では、この投稿を呼んでいる全員が正常な人間ではないでしょうね。でもこの熱狂的な共同体はもう何者でも止められないと思います。

mdovzhenko:

普通の日記の場合、筆者は未来のまだ見ぬ読者と会話をし、答えを期待することもない。それに日記のうちの一部だけが文学作品となる。ライブジャーナルはただのインターネットチャットで、その会話の記録が「日記」として保存されているだけだ。 この2つには何の共通点もない。

buches:

イラリオノフの意見は悪くないと思うね。今日のライブジャーナルは昔でいう台所のおしゃべりだってさ。[編集者注:“ソビエト時代、台所はプライバシーが保てる代表的な場所だった。”台所でのおしゃべり”は抑圧的な全体主義体制に対する消極的な抗議行動となった。”]

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