台湾:皮肉な人権デー

この記事では、台湾での人権情報を紹介した前回の記事のテーマを引き続き取り上げる。

人権10大ニュース

台湾人権促進会(TAHR)は世界人権デーを目前に、「2007年人権10大ニュース」を発表した。国家によって行われる人権侵害は政策決定者や公務員の意識レベルに深く関わっているということから、TAHRは「2008年大統領・議会選挙候補者の人権問題調査」を発表した。有権者が候補者の人権問題に対する見解を考えながら投票することををただ折るばかりだ。

政府関係者の性差別的な発言

教育部(文科省にあたる)の関係者が政敵に対する軽蔑的な攻撃として、「女っぽい」や「ゲイ」といった言葉を使った。これがゲイの権利活動家たちからの激しい反発をうけ、この様な言動を非難する合同の記者会見が行われた。しかしこの関係者は、「ゲイ」や「女っぽい」はただ単に形容詞として使っただけだと彼らの懸念を適当にあしらった。

Biは彼のブログで、この言動に怒って抗議している:

他說的可太輕易了!他可知道有學生就是因為娘,所以受盡男同學的欺負,不敢上廁所怕遭脫褲要驗明正身。他可知道,就是有男人將 gay當作取笑與羞辱的形容詞,以致於一個活生生的男同志在成長過程中,不敢面對與展現真實的自我,一旦出櫃還有遭到排擠失去工作的風險。這種成長經驗的痛苦,豈是「gay是一個形容詞」所能帶過。

どうしたらそう軽くあしらうことができるのか!「女っぽい」からといってクラスメイトからのいじめに耐えている生徒や、「男であること」を証明するために服を脱がされることを恐れてトイレにいくのが恐い生徒がいるということを、彼は知っているのだろうか?「ゲイ」という言葉の軽蔑的な使い方のせいで、ゲイの男性は青年期に本当の自分に向き合い表現するのに困難を感じ、カミングアウトした場合、排除されたり時には仕事をくびになってしまうリスクと向き合わなければいけないということを、彼は知っているのだろうか?「ゲイ」という言葉の軽蔑的な使いかたのせいでゲイの男性が耐えている苦しい経験は、「ただの形容詞だ」といって済ませることではない。

台湾女性学学会もまた、この機会に多数の政界実力者による男性優位的な言葉の暴力の行使を非難した。ジェンダーに関する問題に取り組む他の活動家グループとともに、教育(性差別)法に乗っ取りこのような言動に対し全責任を負うよう教育部に要求した。活動家たちは、差別的な言葉の使用は男女同権運動おける深刻な後退であり、民主主義をおびやかすものであると言っている。

皮肉な人権デー

人権デーの12月10日、台湾人権景美パーク(台湾人権景美園区)の開園式が行われた。この公園は、政治犯を収容した昔の刑務所跡地に建てられている。被害者とその家族が式典に招待された。皮肉にも、抗議に参加した楽生活動家グループは情け容赦なく追い出され逮捕された!

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写真:pinglhow

CoolLoud.comにはこの事件の詳しい報告がされていて、CivilMediaにはビデオが掲載されている。

このイベントに参加した学生Chenは、何が起こったのか自らの経験にもとづいて書いている:

大官們魚貫的入場,我們高喊著那些大官們的名字,渴求他們走過來聽聽我們的訴求,看看人權真實的樣貌。無奈,大官沒有來,警察、國安、刑警卻向我們包圍、靠攏。

彼らが列をなしてやって来たので、私たちの話や要求に耳をかたむけ、そして人権の本当の意味に気づいてくれることを願い、彼らの名前を叫んだ。残念ながら、関係者は誰もやって来ることはなかったが、警察、治安部隊や機動隊がやって来て、私たちを取り抑えた。

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警察から脅迫的な身ぶりをされる中で(この段階でバリアは取り払われていた)、皮肉にも芸術的に作られ「台湾人権景美パーク」と書かれた壁にもたれかかることしかできなかった。

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この看板の下で車いすに座っているおじいさんやおばあさんたち。複雑な気分だ。

この日の朝、陳水扁大統領が台湾人権景美パークの開園式を主宰した。式典からそれほど離れていない場所では、楽生ハンセン病療養所問題に抗議する市民によって行われていた抗議行動を警察が力ずくで解散させていた。陳大統領曰く、「我々がどれだけ国民党とは違うか分かるでしょう。」
写真:Coolloud

助け合うマイノリティーの人びと:新しい移民やジェンダーマイノリティー

このような混乱状態で絶望的になる人びともいるが、社会の様々なところでマイノリティーグループは互いに支え合っている!11月から、台湾のベトナム語新聞BaoBonPhuong(四つ角)はジェンダーマイノリティーグループが主催するBBSサイトと共同で、同性愛、新しい移民などマイノリティーの人びとに関する問題に焦点を当てた人権ニュースの同期報道プロジェクトを開始した。BaoBonPuongは、台湾で唯一のベトナム語新聞だ。移住労働者や新しい移民を対象としている。一方このBBSサイトは、ゲイやレズビアン・コミュニティーにとって連絡や情報交換の重要な場だ。この同期報道プロジェクトのプレスリリースにはこう書かれている:

樂生、蘇案…許多人權議題仍懸而未決;司法系統或警方對同志、原住民、新移民的不當作為頻傳…社會各處仍有許多無理的對待。這一次跨族群的互惠行動,希望能為人權的寒冬注入一股暖流。

楽生ハンセン病療養所三死囚事件…多くの人権問題がいまだに解決されていない。ゲイやレズビアン、先住民や新しい移民に対する警察の不当な扱いについてよく耳にする…私たちの社会にはまだまだ理不尽な行いがはびこっている。グループを越えたこの行動は、関係する全ての人びとにとって有益であり、人権運動の冬に温かさをあたえることを期待する。

この記事はFoolfitzが執筆し、Yi により英語に翻訳されました。FoolfitzとYiはともにGV Chinese Linguaの翻訳ボランティアです。

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