メキシコ:平和と正義のために歌うアクテアル聖歌隊

アクテアル聖歌隊(The Choir of Acteal)は、南メキシコ・チアパス州で活動する、ツォツィル系先住民の歌手グループだ。メキシコの先住民は、貧困・飢餓・差別のある生活をしていることが多く、彼らの声が聞かれることは少ない。その現状は歌詞にも表現されていて、聖歌隊の活動は特別なコミュニケーション手法であると言える。

メンバーのElena Gomez Santis氏は、「聖歌隊のメッセージとは、私たちの住む町と全世界に対する平和と正義の探求であり、願いでもあります」と言う。彼女は、Los Altos地域に位置するNaranjatic Bajoという小さな町に住んでいる。ブログOne Lucky Lifeによると、この地域は「緑あふれる山々に囲まれ町で、手を伸ばせば雲が届きそうな場所」である。

The Church of the tzotzil town Naranjatic Bajo taken by Andrea Arzaba

The Church of the tzotzil town Naranjatic Bajo taken by Andrea Arzaba

全国紙La Jornadaの記者Jorge Sifuentes氏 [es] によると、聖歌隊は、1996年に聖書がスペイン語から、彼らの言葉「ツォツィル語」に翻訳されたことを記念して始まった。

しかし、アクテアルの虐殺事件で聖歌隊のミッションは少し変わった。1997年、同じLos Altos地域の別の町で、教会でミサに参加していた45人の先住民が、準軍事組織によって虐殺された。事件以後、聖歌隊は政府に対して正義を要求すると同時に、この地域で起きていることを発信するために、歌い始めた。この事件は、未だに解決に至っていない。

ブロガーのLeobardo Alvardo氏は、アクテアルの生存者や遺族とともに、サンクリストバル・デ・ラスカサスで開催された追悼式に出席した。ミサには、アクテアル聖歌隊も出席していた。

Al terminar la primera oración, el coro de Acteal conformado en su mayoría por mujeres y sólo cinco hombres, suben a la escalinata de la iglesia. Antonio anuncia su participación. Es un canto singular, atractivo. En el claman por los hombres y las mujeres masacrados. La estrofa es rica en ideales, sin metáforas.

最初の祈りが終わった後、男女混合のアクテアル聖歌隊は、教会の階段をのぼった。アントニオが聖歌隊の紹介をし、彼らの歌が一気に響きわたった。その歌は、虐殺された人たちを思う心の叫びであり、歌詞は、比喩を使わずストレートに理想を伝えていた。

歌の一部だ:

Yo no puedo callar,
No puedo pasar indiferente,
Ante el dolor de tanta gente,
Yo no puedo callar,
No, no puedo callar,
Me van a perdonar amigos míos,
Pero ahora tengo un compromiso,
Y tengo que cantar la realidad

黙ってはいられない
無関心ではいられない
これだけの人の痛みがあって
黙ってはいられない
私は黙ってはいられない
友よ、私を許してください
私にはやらなければいけないことがある
現実について歌わなければいけないのだ

聖歌隊は、先住民の権利への理解と公正な対応を訴え続けている。彼らの歌声は、さまざまな境界を越えて、メキシコ国内・世界各国の人々が耳を傾け、支えることを願う声なのである。

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