COP16:若手トラッカーの結論

Adopt a Negotiator Project に関わる若手の“トラッカー(追跡者)”は国連気候変動会議の会期中にブログをつづってきた。メキシコのカンクンで開かれたCOP16での出来事についての彼らの最終的な意見と考えをこれから紹介する。(トラッカーに関する最初の記事はこちら)
COP16で作業にあたる、カナダ、インド、南アフリカ、オーストラリア、ブラジルのCOP16交渉トラッカー達。 /写真 Andrea Arzaba

COP16で作業にあたる、カナダ、インド、南アフリカ、オーストラリア、ブラジルのCOP16交渉トラッカー達。 /写真 Andrea Arzaba

イギリスのトラッカー、Anna CollinsはCOP16の終盤に感じた疑問を最新のブログ記事につづっている

COP16が終わっても、私にとっては答えよりもむしろ疑問の方が多く残ったようです。
私たちはCOP16での進展に満足してよいのでしょうか?
見た目には今回の会議で私たちの側についてくれたように思えるボリビアを、なぜ応援しようという気にならないのでしょうか?
議長は合意のルールを破ってしまったのではないでしょうか?
合意のルールとは一体何だったのでしょう?
もし本当にルールが破られたのであれば、それは良かったのでしょうか、それとも逆だったのでしょうか?
もし一国が合意を拒むことが可能なら、サウジアラビアやアメリカが同じ影響力を持つことになるからでしょうか?
もしこれが真実であるなら、このプロセスに未来はあるのでしょうか?
このことは、気候、そして私たちの美しい地球、よりよい未来に一体何を意味するのでしょうか?
COPがまたひとつ終幕し、次のCOPへと猛進する。世界中の政府もメディアも市民社会も同様にカンクンでの成功をほめたたえる。そして早くもそれが記憶のかなたに消えていってしまう。そんな中、私は座ってじっくり自分の疑問に思いを巡らせます。
まだ答えのみつからない疑問に。

COP16の最後を印象付けたのは、今回カギとなった国、ボリビアである。イタリアの交渉トラッカー、Andrea Cinquinaがこのことについて書いている

COPおよびCOP/MOPでは、ボリビアと議長側との長い論争が次々に展開されました。
ボリビアは議長側が前の決定を承認したのが不満だったのです。
ボリビアによれば、そのような決定はむしろ全体の合意、つまり国連の手続き上、基本となる手法が必要になります。
エスピノーサ議長はボリビアを遮りこう言いました。。他の193カ国が決断に合意しているのであれば、たった一国が拒否権を乱用することはできない、と。

インドのトラッカー、Leela Raina は最新記事を投稿し、気候交渉におけるインドの最終的立場について書いた。

会議は今日終わりますが、インドはカンクン会議での解決策を前向きに形作ってきました。インドはより気候変動の影響を受けやすい国々のために立ち上がり、G77内の多種多様なグループと中国の交渉グループの間で食い違う意見の橋渡しをしてきました。今週初めにあった記者会見では、ブラジル・インド・中国・南アフリカからなるグループBASICを代表して、協定が結ばれなかった3つの事項が明らかにされています。一つ目は、京都議定書の第二約束期間の維持に関してです。現在議定書に専念することは重要で、これは気候変動に関して唯一法的拘束力をもつ条約です。しかし、廃止を望む国々もあり、その未来は不透明となっています。

Alex Stak はアメリカ代表団を追い、交渉の終盤、北アメリカのとった異例な立場について投稿している。

おそらく交渉人たちは過度の疲れがたまっていた、もしくは総会の場があまりに混雑していたのでしょう。しかし、先ほど終了した非公式の総会では、部屋全体がめまいのするような熱気にあふれていました。草案の文面についてまだ話し合うべきだと警告し、介入する集団(ボリビア、キューバなど)もやはりありました。しかし、それらを除いては、他の全参加国が草稿に熱烈な支持を表明し、開けた透明性のある進行をリードしたメキシコ大統領の努力を賞賛しました。介入のたびに、大きな拍手喝さいが沸き起こりました。普段は落ち着きをはらって話すTodd Sternでさえも、「この件を終わらせてしまいましょう」と言い切ったほどです。まだ今晩にもいくつか会議が開かれることにはなっています。しかし、私たちは今、国々がきっと調和のとれたひとまとまりの結果に合意ができるだろうと、これまで以上に感じています。
あの部屋にいた時の興奮は、なかなか伝えにくいものがあります。今回の会議では、地球を救うような取り決めがなされたわけではないかもしれません。しかし、国連の気候変動交渉の場において、先進国・途上国間でのほぼ全会一致、拍手喝さいや自然と沸き上がった声援は全く前例のないものでした。1年前のコペンハーゲン会議以来初めて、私が心から自信を持って言えることがあります。それは、このプロセスが実を結ぶことを世界に証明するだろうということです。

国連基金によるCOP16での記者会見の様子 カナダとメキシコのトラッカー達、中心にいるのはAdopt a Negotiator Projectのマネージャー、Joshua Wiese/ 写真:Andrea Arzaba

国連基金によるCOP16での記者会見の様子 カナダとメキシコのトラッカー達、中心にいるのはAdopt a Negotiator Projectのマネージャー、Joshua Wiese/ 写真:Andrea Arzaba

最後に、メキシコのトラッカーでGlobal Voices Online のブロガーでもあるAndrea ArzabaがUNFCCCのイベントから最新記事を投稿し、締めくくっている。メキシコの交渉人達が宣言した言葉が現実のものとなることを願って。

私はメキシコの交渉人たちの約束が現実になるよう、切に願っています。そして私はこの2週間偉業を成し遂げてきた彼らや、キープレイヤーとなる人たちの行動をこれからも追い続けます。動き始めるのは今、交渉が終わってからなのですから!

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