インドのProtsahan、芸術の力で少女たちの明日を開く

男女平等は開発の「切り札」と考えられているが、世界のどの国もまだ完全な平等を実現していない。国際連合加盟国は、2015年までに男女平等を含む8項目のミレニアム開発目標の達成を誓約している。だがその実施状況は一様ではない。国際社会の当面の課題は、ポスト2015の開発枠組みはどうあるべきかということだ。

経済協力開発機構(OECD)が指摘するように、開発目標としての男女平等は「取り残された課題」である。

Although there has been progress in some areas such as girls’ access to primary education and women’s economic empowerment, the level of achievement has been uneven across regions and within countries. There is no chance of making poverty history without significant and rapid improvements to the lives of women and girls in all countries.

少女への初等教育機会の付与や女性の経済的地位の向上といった面で一定の前進はあったものの、達成のレベルは地域によって、また一国の内部でも差がある。すべての国々で少女と女性の生活が早急に大きく改善されない限り、貧困が過去のものとなることはない。

OECDは次の5つの政策分野への投資増大が、2015年以降の開発への触媒的効果を生み出すであろうと示唆している――少女の学校教育の継続/リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)と家族計画の改善/経済的エンパワーメント/リーダーシップ支援/女性に対する暴力の根絶。

少女たちの夢の実現を支援

インドのProtsahanは政府の施策を頼むことなく、このような課題に草の根レベルで直接取り組み、数百人の人々の生活を支援する市民活動である。

Protsahanは創造力をはぐくむ芸術を通して、スラムや売春街の少女の教育に取り組んでいる。立ち上げたのは Sonal Kapoorという若い女性で、運営も多くはボランティアの若者が行っている。

デリーでのある女性との 出会いがKapoorを駆り立てた。この女性は8歳の娘を売春宿で働かせていた。5人の姉妹を食べさせるためである。そして妊娠中の7人目の子が女の子だったら、あやめるしかないと思っていた。

Protsahanとは、ヒンディー語で「励まし」を意味する。2011年のブログではその理念が次のように語られている。

How many times have you blamed the country, the politicians, the mafia or “anyone” for the prevailing issues? It’s a fact that the economic gap, the growing discrepancies between evolving and degrading sections is so stark that it can be labeled as alarming now. While a small portion is growing wealthier, another section of the society is depleting with each passing day. […] We have envisioned a way to do our bit, to hold some hands and to realize dreams for the less fortunate. […] Our kids want support not just sympathy. They want a chance to live a better life, to contribute to the building of a better society. We want you to be a part of this initiative and help in the transformation.

目の前に広がる問題に直面して、あなたがたは国を、政治家を、犯罪組織を、あるいは他の何ものかを幾度なじっただろうか? 上流社会と下層社会との間の経済格差は過酷なまでに広がり、今や見捨てるわけにはいかない問題である。一部の人々が豊かになる一方で、社会の別の階層の人々は日に日に朽ち果てていく。[…]私たちは、陽の当たらない人々に対し、ささやかな力となり、手を握り合い、夢を理解する手立てについて、思いを巡らせてきた。[…]子どもたちが求めているのは、単なる憐れみではなく支援なのだ。より良い人生を生きるチャンス、より良い社会づくりへの貢献を欲しているのである。あなたがたもこの活動に参加し、変革の担い手になっていただきたいと切に願う。

次の映像はProtsahanの取り組みを紹介するものである。

芸術の力

Protsahanでは芸術と創造性に基づくカリキュラムを用意している。そして子どもたちは公立の学校で学び続けることができ、ひいては自らの地域コミュニティを変える力となる。Kapoorは語る

These children come from very tough backgrounds. As a creative medium, the arts stimulate cognitive development, encourage innovative thinking and creativity and engender understanding.

ここの子どもたちは、きわめて過酷な状況で生きてきました。創造性を育てる手段としての芸術に取り組むことにより、認識する力が育ち、ものごとを変えていこうとする思考や創造力が高まり、理解力が生まれます。

少女たちのあるグループでは、野外排泄の問題を扱う映画のシナリオづくり、撮影、編集に取り組んでいる。この映画はいずれ地域で上映される予定だ。Kapoor(@ArtForCause)がツイートした

#Protsahanaの少女たちは@Prernascribbles(Prerna Siddharth)と共に#Toilets4All(すべての人々にトイレを)をめざして、#film(映画制作)の特訓を受けています。神さま、私の天使たちに変わらぬご加護を。

Protsahanでは、このほか写真技術も教えている

#Googleの社員が少女たちに#Photography(写真の撮り方)を指導しています。#Protsahanは創造力というエンパワーメントによって、子どもの虐待とたたかっているのです。

最近Protsahanの少女たちは、 女性に対する暴力の問題に焦点を当てた劇を上演した。

少女たちは#Gender(ジェンダー) #Violence(バイオレンス)(性暴力)をテーマとする劇を、居住地区の路地で初めて演じ、母親たちの喝采を浴びました。#VAW(女性に対する暴力)

アメリカ人ブロガーのNicole Melancon (@thirdeyemom)がProtsahanを訪れ、編集した写真を自分のブログに掲載した

ポスト2015の開発

世界が ポスト2015の開発枠組みがどうあるべきかについて展望しているように、真の男女平等は創造性、革新性、および当事者への支援があってこそ実現されるものであろう。Protsahanは地域レベルで何ができるかという一つの試みである。

本稿は、世界の開発をめざすポスト2015構想に関わるOECDについてのグローバルボイスブロガーによる一論考である。OECDは、これらの論考に責任を持つものではない。

このトピックについて詳しくは、Wikiprogress post-2015 portalを参照されたい。

校正:Masato Kaneko

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