グアテマラ:図書館発、母語復興活動

グアテマラ、サン ファン ラ ラグナの中心部に位置するコミュニティライブラリー Rija'tzuul Na'ooj はいつも活気に溢れている。 図書館の一角では小学生のための教育プログラムのための場所が新たに設けられ、 メインルームでは小さな子供たちがボランティアによる物語の読み聞かせに聞きいっている。 また週一回、地域に住む年長者が彼らの人生経験をティーンエイジャーに語る場にもなっている。

Rija'tzuul Na'ooj図書館の外観 写真提供 Rija'tzuul Naa'ooj図書館 使用許諾済

遊んでいる子供たちの声によくよく耳を傾けてみると、彼らの民族語である Tz'utujil(ツトゥヒル語)が聞こえてくる。物語の時間に読まれる本は主にこのマヤ系言語で読まれる。また祖父母たちが、先住民族ツトゥヒルの伝統文化やエチケットを代々伝える Pixab’にボランティアで参加する。

村のおばあちゃんの昔語り 写真提供 Rija'tzuul Na'ooj図書館 使用許諾済

「知恵の種」を意味する名のこの図書館は、アティトラン湖沿いに点在する多数の小さくも活気ある町の一つに位置している。また、この図書館はグアテマラやホンジュラスにあるコミュニティライブラリーのネットワーク Riecken community librarians に属している。 このネットワークには Rising Voices 支援の Xela 市民図書館 プロジェクトに関わる3つの図書館も属している。

図書館の活動としてツトゥヒル語を用い、その重要性を日常のアクティビティやサービスを通して伝えようとする意識的な取り組みが行われている。図書館員はその利用者、特に子供たちとは母語で会話をするよう心がけている。 図書館長のIsrael Quicは、サン ファンの街角で子供たちがこの言葉を使って年長者と日常会話交わすなど、子供たちが胸を張ってこの言語を使っている姿を見かけ、すでに活動による明らかな成果を感じていると話す。

会話や読み聞かせといった言語の口頭でのやり取りが広がりを見せ始める中、この図書館ではマヤ系言語の読み書きを支援する取り組みも行っている。 Quic は8冊のバイリンガルブック制作のプロジェクトを成し遂げた。これらの本は村の年長者からの口頭伝承を集めて編集されたもので、その後転写されスペイン語に翻訳された。

またQuicは、ツトゥヒル語の利用をさらにオンライン上で展開できるような活動を推進している。 図書館のブログを手始めとして二か国語での投稿を試みている。このブログでは、基本的で重要な情報、たとえばこの記事では 激流のような大雨が降ってきたらどうすればよいかを町の住民にこう伝えている。

PIXAAB’ TOQ K'O Q'AQALJAB’

Katk'eje’ kaan paan awochooch, kateleel ja wi qas rajawaxiik chi aawe.
Ma tak'iyaqeel ta ja mees pa b'eey k'in pa rub'eey ya’.
Ma katt'iil apoon ta chi ruuchii’ nimaq taq rub'eey ya’, onwi chuchi’ chooy toq k'ojab’.
Ta to'oo’ jun awach'alaal, awinaaq ja k'orpoqonaal nuutij.
Ta k'olo’ kaan akant'iil, akantela, ab'ateriya, aradio ja nakoj pa taq q'aqaljab’.
Ta poq'orsaaj ja ya’ natij utz k'a ma k'o ta yob'ilaal npit chawiij.
Ta k'olo’ kaan tz'uuj rixin jab’, xarwari’ ta kuchu’ riij utz k'a ma ti tz'ilori.
Ak'ama’ aayaa’ b'a ya'oon wi’ rub'ixiik rumaal ja Q'atb'al Tziij.

雨の日の注意

屋内にいなさい、やむを得ない事情がある時だけ外出するようにしなさい
街中や雨の流れの中にごみを捨てないこと
地滑りの跡地や川、水位が上がった湖など危険な場所には近づかないこと
必要に応じて近所で助け合うこと
非常時に備えてろうそく、懐中電灯、電池、携帯ラジオを準備すること
水は、使う前にろ過するか15~20分沸騰させること
雨水は利用できるように集めましょう、ただし蓋をするのを忘れないこと
水は自治体によって公認された場所から持ってくること

ブログに加えて、Quicはこの言語でFacebook ページも作成した。 Quicは近隣の村からユーザー同士でつながりあい、投稿へのコメントなどによる参加を期待している。 さらに、Quicは個人アカウントでtwitterもはじめた(@maisquick)。 彼はツトゥヒル語でのつぶやきあいを期待する。

Facebook本社を訪れたIsrael Quic 写真提供 Quic 使用許諾済

Quicは、近い将来こうしてインターネット上で知り合った人々がこの図書館に集い、このマヤ系言語であるツトゥヒル語を、情報技術や市民メディアを活用しながら、どのように広めていくか議論できることを夢見ている。

こちらは、ツトゥヒル語によるポットキャスト。Quicがサン ファン ラ ラグナにあるRija'tzuul Na'ooj図書館への来訪を呼びかけている。

校正 Ayumi Nakajima

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