お年寄りとハグしよう:世代間ギャップを埋めるインドでの試み

ハグ・キャンペーンのポスター。ヘルプエイジ・インディアの厚意による。

ハグ・キャンペーンのポスター。ヘルプエイジ・インディアの厚意による。

何世紀もの間、インドでは複合家族が伝統であり、つまり、祖父母から孫まで数世代が一つ屋根の下で暮らしていた。しかし、国家の急成長に伴い、インドの社会機構は変わりつつある。核家族化がどんどん進み、若い人は好機を求めて移住していく。

このことは、独居せざるをえない高齢者の増加を招く。彼らの多くは、孤立し放置され孤独にさらされている。

支援を試みる、ひとつの心温まるキャンペーンがある。ヘルプエイジ・インディア(HelpAge India)のHUG(Help Unite Generations、世代間交流支援)という運動は、「世代を超えた絆を築き、若者の年長者への共感力を高める」ことを目指して、インドの若者たちに年長者と仲良くなってハグし合うことを勧めている。

ヘルプエイジ・インディアは高齢者に関わることや介護のために活動するNGOであり、この運動によって若者がどう社会に良い影響を与えることができるかを、意見提唱ページ上で説明している。

Whenever you see an elder person sitting all alone, look again! He or she may be in your family or neighborhood or someone you’ve seen many times and is always alone. This person has one need that you can fulfill. With just one word, one smile, one HUG! Just give them a little bit of your time. These are the gestures that an elder seeks but often does not receive. The HUG Campaign encourages you to simply give a call, listen to experiences, ask how the day was and share your stories with your elder friend.

お年寄りが一人で腰かけているのを見かけたら、必ず振り返って下さい。あなたの家族やご近所、知り合いかもしれないその方は、いつも独りなのです。この方に必要なものをあなたが満たすことができます。たった一つの言葉で、笑顔で、ハグで! ほんの少し、あなたの時間を割いてください。こうした仕草は、お年寄りが求めてもあまり得られないものです。年長のご友人に、ただ電話をする、経験談に耳を傾ける、今日の調子はどう?と聞く、自分のことを話す。そんなことを、ハグ・キャンペーンではお勧めしています。

キャンペーンが投稿した泣ける動画。ハグし合うとはどんな感じか伝わってくる。

インド人の寿命は延び、高齢者人口は増加している。2011年のインド政府の報告(PDF)によれば、インドで60歳以上と定義される「グレー人口」が全人口に占める割合は、2001年の7.4%から、2026年までに10%に増加するものと見られる。数で見ると、これは大変な急増である。…2001年には約7700万人だったのが、2026年までに約1億4000万人に増加することになるのだから。

ヘルプエイジ・インディアの提唱・広報部門の国別責任者マンジーラ・クラーナ(@KhuranaManjira)は、このような努力によって、若者が高齢者の要望に敏感になると信じている。グローバル・ボイスのメールでのインタビューに答え、彼女はハグ・キャンペーンにかける望みを語ってくれた。

An occasional coffee, an outing once in a while and a phone call changes lives. The Elder is happy and the Younger maybe finds that the Elder can be Cool as well! That will maybe influence this youngster to be more sensitive and kinder to elders in his later life.

たまにお茶したり、ちょっと外出したり、一度電話する、それで人生は変わります。お年寄りは幸せを感じ、若い人はたぶん、年寄りもカッコイイかもと思うでしょう。その影響で、この若い人はその後の人生で、高齢者により敏感に優しくなるかもしれません。

ハグ・キャンペーンは若い人たちに、自分たちの体験や写真をシェアしてくださいとも呼びかけている。Teach for India(訳注:教育NPO)の講師シュレヤ・ミシュラは、自分の祖父とハグしている写真を、ヘルプエイジ・インディアのFacebookページにシェアしている。

「祖父とハグしているところです。祖父の笑顔を見るのは最高です」Teach for India講師、シュレヤ・ミシュラ。ヘルプエイジ・インディアのFacebookページより。

「祖父とハグしているところです。祖父の笑顔を見るのは最高です」Teach for India講師、シュレヤ・ミシュラ。ヘルプエイジ・インディアのFacebookページより。

独りでいられる人などいないという。確かに、高齢者は老後を孤独と放置の中に置き去りにされるべきではない。ハグ・キャンペーンはインドの若者に明快に呼びかけている。めまぐるしい日常生活の中で、どこかに行こう、出世しようと急ぎながらも、高齢者のことを忘れないように、と。しばし立ち止り、自分の生活に彼らを入れよう、笑顔を、話を、ハグをかわそう、と。

現在、インドの人口の50%が25歳以下である。この若い世代は聞いているだろうか? そしてもっと重要なことだが、今すぐ行動を起こしてくれるだろうか? 人生の黄昏を迎えた高齢者が、いたわられ愛され求められていると感じられるように。私個人としても心からそう思っている。

人数が少なくても気にしない。一度に一人ずつ手を差し伸べよう、いつも一番身近な人から始めよう。

下線のあるリンクは日本語、他は英語のページです。
校正:Takako Nose

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