水と油は混ざらない。ただし、トリニダードでは混ざっている?

この記事の原文は、2015年2月 27日に掲載された

"Loading The Water Trucks in Montrose". Photo by Taran Rampersad, used under a CC BY-NC-SA 2.0 license.

「水を補給中の給水車。モントローズにて」 写真:Taran Rampersad 使用条件:CC BY-NC-SA 2.0

トリニダード・トバゴ 上下水道公社(WASA)は、安全な水の給水を業務とする公共機関である。同公社は、トリニダード中部の住民から水道水からおかしな臭いが出ている、また、油膜のようなものが浮いているとの通報を受けて、今週水道水の安全性が危険にさらされていることを認めた。

同公社のウエブサイト上には、まだ現在の状況は掲示されていない。(この記事を投稿した時点では、先月の給水障害に関する情報が、最新の情報である)しかし、同公社はフェイスブックを通じて現在の状況を発信している。

At 7:15 p.m. on Tuesday 24th February 2015, operators at the Caroni Water Treatment Plant observed an poly substance in the river, which led to the immediate stoppage of operations at the plant.

The facility was restarted at approximately 12:45 a.m. […] Wednesday 25th February 2015, after the river was cleared of the oily substance, as well as clean up and disinfection works on the plant.

The Authority assures customers that the supply from the Plant is safe and meets World Health Organisation standards, however, flushing exercises are currently being carried out in order to eliminate any residue of the substance that may have entered the distribution system.

2015年2月24日(火)午後7時15分、カロニ浄水場の職員が河川水の中に毒物の存在を確認した。そのため、直ちに同浄水場の操業を停止した。

河川内の油性物質の除去および浄水場の除染と消毒作業を終了後、同浄水場は翌日午前12時45分[…]ころ、操業を再開した。

同公社は、利用者に対して同浄水場からの供給水は安全で、世界保健機構(WHO)の基準に適合していると断言している。しかし、配水系統に混入した恐れのある残留物質を除去するため、目下、洗い流し作業を実施中である。

一方で、同公社は住民に対し、水道水に石油臭がある場合は […] 使用せず、臭気が消えるまで放水するよう助言している。また 環境管理局(EMA)は河川で確認された汚染物質の性状を究明するよう連絡を受けていると、同公社は述べている。

環境管理局(EMA)は、ウェブサイトを更新し、危機管理・調査班が、「汚染物資の流出源を突きとめるため浄水場の上流部を調査中である、また同時に、浄水場からの給水の中に炭化水素の存在が認められるかどうか水質試験を行ている」と述べている。危機管理・調査班はその後、あらたに、川面にディーゼル油の油膜を見つけた。そのため浄水場は2度目の操業停止に追いやられた。2月25日午後6時30分に実施した水質試験の結果、全石油炭化水素の含有量は0㎎/Lであった。これは、明るい兆候である。

しかしこのことはあまり、地域住民の不安を和らげることはできなかった。そのため、公社はすぐに、影響区域に給水車を差し向けた。ネチズンは、関係部局へいくつかの要望を出した後すぐに、カロニ浄水場から配水を受けている区域に関する情報を共有した。

Areas affected by the contaminated water supply; screenshot of text that was widely shared.

汚染水の影響を受けた地域で拡散された携帯メールの例

トリニダード中部に住むナナンさんは、一日に約1リットルの水を飲む。それは昨日も変わらなかった。午前半ばに、彼女は吐き気、寒気そしてだるさを感じた。しかしなぜそうなったのか分からなかった。その時までに彼女はすでに500mlの水道水を飲んでいた。ナナンさんと同じ地区に住むフェイスブックユーザーのエラナ・ナサニエルは次のように書き込んでいる

Since yesterday my water has been smelling like kerosene. Now I hear that the caroni dam has been compromised…DIESEL! Be careful folks

昨日から私の家の水道水は石油臭がしています。カロニ・ダムが汚染されていたということです…ディーゼル油で!  皆さん気を付けて。

ナサニエルの話によると、当初、汚染状態は「非常に悪かったの。そのため水洗便所の水を流した後、石油の浮遊物が残ったわ。そして、便器に油の跡が付くほどだったのよ」 今日は、彼女の家の水道水は少し良くなった。臭いはそれほど強くない。しかし彼女の家では、まだ水道水を飲用や調理用には使っていない。

Meanwhile in T&Tは、合成写真により現状を視覚に訴えたほうがより効果的だと考えた。

"Meanwhile, in Felicity" - Photoshopped image by Meanwhile in T&T's Facebook group.

「しばらく、至福の時」 フォトショップで加工した写真。 Meanwhile in T&Tのフェイスブックより

住居地区や商業地区が混合し人口の密集したトリニダード北部の区域も、カロニ浄水場から給水を受けていることが分かった。ウッドブルックの中心部に住むイアン・ウイルコックスの話によると、今朝起きてみると水道水が変な臭いを放っていた。「水道水のそばにマッチを持っていったら火が着いたかもしれない。石油臭が強烈だったからさ」と、彼は言う。 この地区の多くの住民と同じように、彼の関心は、水槽からいかにして石油残留物を除去するかということである。(トリニダード・トバゴの大抵の家庭や商業施設は、水道管からの給水が途絶えた場合も給水が中断しないように敷地内に水槽を備えている)

災害対策室(Office of Disastar Preparedness and Management)の最初の勧告は曖昧なものだった。その内容は、「水槽に水を補充する前に […]、家庭にある洗浄剤」で洗浄するよう勧めるものだった。フェイスブックユーザーのセシル・ペンバートンは、もっと明確な勧告を出すよう災害対策室に詰め寄った

例えば? 消毒剤なの? 洗剤なの? 漂白剤なの?

当局は後で、今回のような状況では漂白剤が最も効果的な洗浄剤であると回答した。災害対策室は、汚染水道水を摂取したことで起こる健康への影響を心配するネチズンの声にこたえて、次のように言っている

The ODPM does not hold jurisdiction in the areas of education or health. Should a school be affected, the principal or other officer in charge takes appropriate action as guided by the Ministry of Education. In the event a person experiences adverse effects as a result of ingestion of this water, they should seek medical attention from the Ministry of Health. In addition, affected persons may utilise the services of our Customer Care Centre at 511.

災害対策室は、教育又は健康分野における権限を有していない。学校水道水が汚染された場合は、校長またはしかるべき担当者が、教育省の指導に基づき適切な対応策をとる。住民が、汚染水道水を摂取した結果、健康被害を受けた場合は、健康省の指導の下病院で治療を受けるべきである。さらに、カスタマーケアセンターの電話511で、被害を受けた住民に情報提供を行っている。

この地域のいくつかの学校も被害を受けている。

トリニダードの中心部の少なくとも1校は、今日早く汚染(#contaminated)水道水(#water)を廃棄した。

ソーシャルメディアユーザーたちは、さまざまな フェイスブックのスレッドを通して自分たちの体験を共有し続けた。エマ・ブレイクは、トリニダード・トバゴでは、水道水の水質試験の際、定期的に適宜どのような手法を用いることになっているのか知りたいと考えた

Can you please advise what Trinidad and Tobago's drinking water standards are? (How often is water sampled and tested? For which contaminants? What are the MCLs etc.) I cannot find any data online.

トリニダード・トバゴの水道水の水質基準は、どのようなものか教えていただけますか。(採水や水質試験の頻度はどのくらいなのか。水質試験の対象物質はどのようなものか。MCLsとはどのようなものなのか、など)インターネット上ではいずれのデータも検索できませんでした。

Roelle Donwnerも、ウッドブルックに住んでいて、公衆衛生に関しては差し迫った危険の兆候があると考えている。自分の考えに関して市民と情報交換をしたが、その水準に失望した

I had to hear about this from a friend about 8am this morning and checked my water and sure enough there was a smell […] I tried calling WASA customer service SEVERAL times with no success. I decided to contact the EMA head office in POS and they said they weren't aware of the situation and gave me a number for the central office. They confirmed the situation and I ranted about there not being an offical release anywhere. Apart from households being affected by this what about schools and hospitals that were not aware??? This should have gone out as a bulletin on TV, Radio and Social Media!!! […] Get your act together Trinidad!!

今朝8時ころ、友達から水道水の汚染について耳にすることとなった。水道水をチェックしてみると、確かに不快臭がした[…] 。 公社の顧客サービス窓口に何回も電話したが、つながらなかった。そこで、ポート・オブ・スペインにある環境管理局(EMA)本部へ電話することとした。すると、本部は状況を把握していないと言い、中央事務所の電話番号を教えてくれた。中央事務所が現状を認めたので、私はどこを探しても公式情報が見つからない、と噛みついた。各家庭が水道水汚染の影響を受けていることはともかく、汚染に気づいていない学校や病院はどうすればよいのだ???。今回のことは、テレビ、ラジオそしてソーシャルメディアで広報すべきだった!!! […] 。トリニダードの国を挙げて、みな一体となって行動しよう!!。

妊娠中のGerzel Serrette-Soverallも、情報が遅すぎたと考えている

This is a bit to [sic] late wasa, since monday i notice that once i drank the water i hv experience[d] excessive bowel movements. I hope tht my un born baby is ok.

確かに少し遅すぎたわ。月曜日以来、水道水を飲んでから、おなかの具合がすごくおかしいの。おなかの赤ちゃんが丈夫でいてほしいと願っているわ。

当局はまだ今回の汚染は、破壊行為によるものかどうか明らかにしていない。しかし、事故であろうとなかろうと、誰かに何らかの責任を取ってほしいという多くの声が寄せられている。多くの人が疑問に思っていることは、公社は2月24日(火)の夜、この問題を発見したとき、なぜすぐに浄水場の操業を停止し、問題が解消されるまで操業の再開を待てなかったのかということである。少なくとも、汚染源が分かり汚染を食い止めることができ、水道水の安全性が確認されるまで、操業を停止すべきだったと、多くの人が思っている。ナナンさんは、下記のように言っている。

What I CANNOT understand is that WASA knew the water was contaminated but still sent it to people from Tuesday. There was water by me right through Tuesday until Wednesday.

私が理解できないのは、公社は水道水が汚染されたことを知っていたのに、火曜日も給水を続けたことである。火曜日から水曜日まで、水道水は間違いなく私のところまで給水されていた。

彼女が住む地区への給水は、木曜日の未明になってようやく止められた。彼女はダムのより徹底した警備を求めている。ダムの水は容易に汚染されるということを知ったからだ。公社は彼女の要求にこたえて、安全対策を強化する方針だと言っている。

公社(#WASA)は、カロニ浄水場の警備を強化する、また今回の漏えい事故の原因を精査するといっている。

この記事を書いている時点では、公社はまだ汚染物質の種類を特定していない。ツイッター上では、汚染物質は石油だということで概ね意見が一致している。しかし、それが正しいのかはまだわからない。

msconfident20さん@msconfident20 #onlyinTrinidad #WASA…、誰かが貯水池に石油を流し込んだという噂です。

いったい、誰が浄水場へ石油を流し込んだんだ。おかげで、石油臭い水は飲むなといわれているんだ。

匿名を希望しているある市民は、次のように言っている。「火曜日の午後、公社の職員がラジオでインタビューを受けているのを聞いた。その中で、『公社は水面下の汚染物質を特定するために適切な場所に測定器を設置している、しかし、水面上の汚染物質を特定する機器は設置していないと』、言っていた。」公社は、水面上の汚染物質を分析できる機器も購入する手続をしているようだ。

校正:Shione Furuta

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