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莫言氏のノーベル文学賞受賞は、日中関係修復へのシグナル

2012年9月11日、日本政府は尖閣諸島 (中国・台湾:釣魚台) を国有化した。それに誘発され拡大した中国での反日デモの様子やネット上の反応はこちらの記事で取り上げたが、2012年10月末現在もなお、日中間の膠着状態は続いている。

両国政府同士での調整が進まないなか、民間では事態打破へ向けて模索するさまが目立つ。

以下では、ブロガー陽光堂主人の10月12日のポスト[jp] の一部を本人の許可を得て掲載する。彼は両国の作家をはじめとする民間の動きに関係修復の希望の光を見出している。

まず、彼は手始めに莫言氏のノーベル文学賞受賞[en] をこう分析する。

莫言氏の受賞は日中関係修復へのシグナル

ノーベル文学賞は、中国人作家の莫言氏が受賞しました。村上春樹氏も有力視されていましたが、「日中対決」とも言われた今回の文学賞は、中国が制した形となりました。中国人は喜んでいますが、この選考は中々興味深いものがあります。

…(中略)…

民主派の中国人は莫言氏に批判的ですが、共産体制下ですから致し方ないでしょう。2年前の2010年にノーベル平和賞を受賞した劉暁波氏に対しては、当局は弾圧を加えて言論活動を封じています。こうなったら何もできませんから、体制批判をしようとしたら相当な工夫が必要となります。

日中関係が最悪の状態にある中で親日家の莫言氏がノーベル文学賞に選ばれたのは、関係修復の契機にしたいという選考委員会の意図が感じられます。山中伸弥氏[en]に続いて村上春樹氏が受賞したら、日中関係は更に冷え込んでしまいます。ノーベル賞には常に、政治的な意図が込められています。

そして続けて莫言氏の受賞を予測させるような動きが見られたとして引用したのは、中国の大学教授崔衛平( Cui Weiping ) 氏[en] がネット上で日中関係の改善を目指し呼びかけた署名についての朝日新聞の記事である。

その中では崔氏が提起した、両国関係に対する冷静な見方を呼びかける署名運動[cn]に触れ、崔氏の行動を後押ししたのが、日本の民間発の動きであると報じている。

日本の民間発の動きとは、市民団体による「『領土問題』の悪循環を止めよう!」という声明運動に、作家の大江健三郎氏をはじめ1600名(団体発表による)が賛同したことを指している。団体のホームページでも、崔氏のアクションをはじめとする各国の連携について「国境を超えて平和と共生を求める市民の動きは、有意義で、きわめて重要」と述べている。
なお、この声明をMSN産経ニュースでは“反日声明”と表現し、読者からは大江氏や団体への批判が多数寄せられたことも一つの事実である。

「領土問題」で国会前行動

「『領土問題』の悪循環を止めよう!アジアの民衆は戦争ではなく
平和解決のために連帯しよう」と集った市民たち  写真:レイバーネット (2012/10/18)

 

振り返れば、陽光堂主人は約1ヶ月前、デモ拡大のさなかから日中関係を憂慮し投稿を続けている。

9月17日には過激化する反日デモの本質は権力闘争
9月18日は中国人の大半は尖閣騒動の黒幕は米国だと見抜いている
と、デモの背景で利益を得ようとする存在を示唆し、
9月19日には「尖閣騒動で利用され割りを食うのは日中の国民
と、騒ぎを戒めた。また、その後も精力的に独自論を展開し続けている。

陽光堂主人は、こう結ぶ。

これは非常によいですね。とても冷静で建設的な提言です。日中両政府は、こうした良心的な国民の声に真摯に耳を傾けるべきです。

…(中略)…

崔衛平氏ら実名で署名した人たちはとても勇気のある人たちで、中国人の良心を代表しています。我々日本人は、こういう人たちと連携して共存共栄を図ってゆく必要があります。

国を越えて出会い、民間で育まれつつある対話の芽から、また一つ新たな出会いが生まれた。