メキシコ政府がオアハカの先住民ラジオ局を弾圧

Radios Comunitarias

コミュニティラジオ局は、「地元の人々に、自分たち自身のイメージや、自分たちを取り巻く環境を反映させた番組を作る機会を与えている。また、外部の情報ソースから独立しているため、自分たちのコミュニティや文化について自分たち自身の声で語ることができている」。写真は Libertad-Expresión.org.mxから引用。 雑誌「ボセス・エトニカス(民族の声)」に掲載。 ポセス・エトニカスは、メキシコの先住民コミュニティの伝統や慣習を、絵や写真、また、文字にして復活することに取り組む雑誌である。

メキシコ政府はまたもや、先住民の人々が自分たちの 情報メディアにアクセスすることを規制し始めた。

今回、連邦当局が介入したのは、オアハカ州 テワンテペク地峡 にある4つのコミュニティラジオ局だ。当地でコミュニティラジオ局は、色々な役目を担っているが、とりわけ重要な役目は、先住民の言葉を使い、音声を通して先住民コミュニティに情報を提供していることだ。読み書きができないことが珍しくない農村地域では、耳から入る情報が欠かせないからだ。また、多額の設立費用や運営資金を必要としない事情から、コミュニティラジオ局は、住民たちの文化的アイデンティティーを高めながら、共通の利益の問題に住民たちが参加することを可能にしている。

このように、この地域や他のメキシコの農村でも、コミュニティラジオは、社会的にも、政治的にも、とても重要な役割を担っている。コミュニティラジオ局レヘナラシオン・ラディオ は、2013年に発表した声明で次のように述べている。

Ante la invasión de empresas trasnacionales que sufrimos los pueblos indios del Istmo de Tehuantepec, Oaxaca, las radios comunitarias han sido un medio de información fundamental en la defensa de los territorios, ello ha provocado que las empresas eólicas y sus complices los caciques locales y los funcionarios de gobierno hayan venido desarrollando en los últimos meses una agresiva campaña represiva que busca acallar esta voz.

多国籍企業が進出してきたことで、オアハカのテワンペク地峡の先住民の人々は打撃を受けました。そんな中、コミュニティラジオは、地域を守るための不可欠な報道機関としての役割を果たしてきました。そのため、風力発電会社やそれと結託した地方の有力者たち、また政府の役人たちは、ラジオ局を沈黙させようと圧力を加える強引な作戦をこの数ヶ月展開させたのです。

現在この策略は、最近のメキシコの選挙とも関連し、政治的利益を政府や支配層にもたらしている。「地峡の真実、市民の声」(訳注:8月17日現在、リンク先は閲覧できない状態になっている) は次のように述べている。

[La intención es que las radios comunitarias] no den a conocer la situación crítica y precaria que se vive en la Regional del Istmo de Tehuantepec, como la malversación de fondos, lavado de dinero, ejecuciones, levantones, asaltos a mano armada y delincuencia organizada, favoreciendo al gobierno federal.

(策略の目的はコミュニティラジオに)テワンペク地峡地域が被っている、危機的で不安定な状況を明らかにさせないことである。これは連邦政府にとっても都合がいい。その状況というのは、例えば、財源の不正使用、マネーロンダリング、処刑、誘拐、武装襲撃、組織犯罪といったことだ。

このことは特にメキシコにおけるコミュニケーションの状況と関連している。メキシコでは、 テレビサTVアステカのような複合企業が, メディアを牛耳っている。 自治権のある独立メディアはほとんど無く、したがって、ニュースに関しては多様性は限られ、多方面からの視点が欠如している。こういった状況では、ラジオやテレビといった従来型の放送局は、商業的利益を優先するあまり、大きな悪影響を受ける。つまり、メキシコ最大手のメディア会社に対して、特定の編集方針を押し付けるのだ。それはしばしば国家権力の 政治的戦略 に利するものだ。

最も最近起こった出来事では、5月末にメキシコ連邦検察庁 は、サリナ・クルスで営業する3つの先住民ラジオ局を家宅捜索し、 La Explosiva 93.7 FM、Stéreo 99.9 FM、La Joya 106.1 FM の3局から機器を押収した。そして4番目に、 サント・ドミンゴ・テワンテペクの放送局La Joya 107.5 も同様な目にあった。

家宅捜索の際には、連邦捜査官はラジオ局の伝送装置を停止し、更に、メディア BMM ノスティアス を所有し報道もするエドウィン・メネセスと、ラジオ局 テワンテペクのアナウンサー、サムエル・ロペスを逮捕した。雑誌 レヘナラシオンによると、警察は二人を違法にラジオ周波数を使用した罪で告発した。

二人のリポーターは5月21日に、それぞれ7万ペソ(約53万円)の保釈金を払った後、釈放された。彼らの裁判はまだ係争中である。報道機関 パヒナ3は以下のように述べている。

Edwin Meneses y el locutor Samuel López estuvieron resguardados en las instalaciones de la PGR durante aproximadamente doce horas y fue tras el pago de la fianza que los dejaron en libertad; sin embargo, ahora tendrán que seguir el proceso administrativo judicial en la Ciudad de México por ser un delito de índole federal.

En entrevista con Edwin Meneses, resaltó que fue una experiencia “horrible” la que vivió durante ese tiempo que fue detenido, porque al ser detenido no le permitieron realizar ninguna llamada telefónica a nadie, mucho menos a sus familiares o algún abogado que lo auxiliara.

エドウィン・メネセスとアナウンサー、サミュエル・ロペスは、連邦検察庁の施設にほぼ12時間拘束され、釈放されたのは保釈金を払った後だった。しかしながら、これから彼らは、メキシコシティの行政判事によって連邦犯罪を犯したとして裁かれることになる。

インタビューで、エドウィン・メネセスは強い調子で語った。逮捕は「恐ろしい」体験だった。なぜなら、逮捕されている間、彼は、助けとなるはずの家族や弁護士にはもちろんのこと、誰にも電話することを許されなかったからだ。

逮捕に関して、エドウィン・メネセスはこうも語った。

Los elementos de la PGR llegaron armados y con un barrote quisieron abrir la puerta, en ese momento salí y se identificaron, dijeron que venían por todo el equipo, se llevaron todo y de ahí me dijeron que también me llevarían en calidad de detenido, querían esposarme como un delincuente, pero no quise y me defendí, me dijeron groserías, realmente fue una experiencia horrible que no se lo deseo a nadie.

連邦検察庁の捜査官は、ドアを破るために武装してやって来ました。私が出て行って名乗ると、彼らは機器をすべて押収しに来たと言いました。すべてを取り去り、すると、今度は私を拘束すると言いました。彼らは犯罪者のように私に手錠をかけようとしましたが、抵抗すると私を罵りました。それは心底恐ろしい体験で、他の誰にも経験して欲しくありません。

アジューク・コミュニティラジオの声明によると、政府は、サリナ・クルスの港湾地区にあるもう4局とテワンテペクトの町のコミュニティラジオ2局の機器を押収した。すべてをわずか去年9月の1ヶ月の間にやってのけた。2014年の11月には、連邦警察はコミュニティラジオ局、オルビタ・ディヒタルラディオ・ボラ・ラリ、 そして ステレオ・ランチェ・グビニャの機器を使用停止した。これらの事件を踏まえて、地峡コミュニティラジオ機関(OIRC)のメンバーはこう宣言した。

Nosotros no somos delincuentes ni extorsionadores, nos dedicamos a informar diversos programas radiofónicos de forma local y regional, pero sabemos que hay intereses económicos de dueños que han monopolizado en este ramo que no les ha gustado que les quitemos sus ganancias y ellos son los que no quitan el dedo del renglón, sin embargo, les decimos que estamos en resistencia social, porque no nos callarán las voces.

私たちは決して犯罪者でも、恐喝者でもありません。私たちは、多様性に満ちた地方や地域のラジオ放送番組を通じて、情報提供をしようと努力しています。しかし、この分野を独占している会社経営者たちの側には、ここに経済的利益がからんでいるという思惑がある、ということに私たちは気づいています。そして、会社経営者たちは、私たちが彼らの利益を減らしていることを良しとせず、諦めることもしない人たちです。しかし、私たちは社会をあげて抵抗すると彼らに告げます。そして、私たちは決して声を上げることも止めません。

OIRC代表のラファエル・チニャス・テランは、最近の出来事を非難し、 連邦電気通信 委員会に向けて、連邦政府がオアハカのコミュニティラジオ局への攻撃を止めるよう訴えた。

校正:
Takako Nose

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