パスポート返納問題と日本に流れる空気

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Let's Go! - Passport

写真は、FlicrよりLucas氏撮影。(CC BY-NC-ND 2.0)

シリアへの渡航計画を理由に、外務省は2月7日、カメラマンの杉本祐一氏にパスポートを返納させた。

今回の杉本氏のパスポート返納については、日本では、外務省の対応に理解を示す反応が多い。一方で海外メディアなどでは、政府によるパスポートの剥奪であり権利の侵害であるという論調もある。

日本人のメンタリティとして、どのような状況でも自由は保障されるべきだ、という感覚は、欧米の国々と比べると、薄いと感じられる。

過激派組織「イスラム国」による2人の日本人の殺害では、多くの人々がショックをうけた。日本がこのように敵とみなされるリスクが存在するという危機感は、今まで強くはなかっただろう。しかし、状況は日々変化していく。

そんな中、現在の日本に流れるのは「危険な場所に近づいてはいけない」という漠然とした空気であり、それは「どんな理由があろうとも」というところまで行きつく。そしてその空気は、日本の社会の中では、大きく作用するように見える。

確かに日本人として、あのような悲劇を二度と見たくない。今回のケースは、特別な状況での対応であったかもしれない。

しかし、いかなる理由があったにせよ、一人のカメラマンがパスポートの返納を強制的にさせられた、という事実を安易に見過ごすことは、やはりできないだろう。そこには妥当な根拠があったのかどうか、今後、同様のケースがあるのかどうか、これからも十分に議論していく必要がある。

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